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11月22日-03号

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  1. 京都市議会 2001-11-22
    11月22日-03号


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    最終取得日: 2021-07-19
    平成13年 11月 定例会(第4回)     平成13年第4回               京都市会会議録 第3号     (定例会)               平成13年11月22日(木曜日)出席議員(71名)   1番 小島健市議員   2番 竹内 讓議員   3番 小川ひろき議員   4番 砂川祐司議員   5番 田中英之議員   7番 磯辺とし子議員   8番 井上けんじ議員   9番 玉本なるみ議員   10番 東山洋子議員   11番 安井 勉議員   12番 井上教子議員   13番 山口 勝議員   14番 安孫子和子議員   15番 中村十一議員   16番 石黒利雄議員   17番 加地 浩議員   18番 橋村芳和議員   19番 加藤盛司議員   20番 内海貴夫議員   21番 せのお直樹議員   22番 岩橋ちよみ議員   23番 中村かつみ議員   24番 西野さち子議員   25番 柴田章喜議員   26番 久保省二議員   27番 大道義知議員   28番 日置文章議員   29番 天方晶英議員   30番 宮本 徹議員   31番 鈴木マサホ議員   32番 繁 隆夫議員   33番 富 きくお議員   34番 大西 均議員   35番 田中セツ子議員   36番 巻野 渡議員   37番 北山ただお議員   38番 倉林明子議員   39番 井坂博文議員   40番 加藤広太郎議員   41番 佐藤和夫議員   42番 谷口弘昌議員   43番 高嶋弘恵議員   44番 中西賢治議員   45番 可児達志議員   46番 中西正三議員   47番 今枝徳蔵議員   48番 梅林 等議員   49番 小林あきろう議員   50番 伊藤義浩議員   51番 二之湯 智議員   52番 中野竜三議員   53番 井上与一郎議員   54番 川中増次郎議員   55番 高橋泰一朗議員   56番 森 ます子議員   57番 藤原冬樹議員   58番 若宮 修議員   59番 山中 渡議員   60番 山本正志議員   61番 三宅誠孝議員   62番 有吉節子議員   63番 宇都宮壮一議員   64番 山口幸秀議員   65番 椋田知雄議員   66番 中村安良議員   67番 北川 明議員   68番 国枝克一郎議員   69番 西脇尚一議員   70番 青木善男議員   71番 津田幹雄議員   72番 坂口芳治議員欠席議員(1名)   6番 中村三之助議員   議事日程   開議日時 平成13年11月22日(木)午前10時   一般質間 (1) 市政一般について  北山ただお議員 (2) 市政一般について  西野さち子議員 (3) 市政一般について  中村十一議員 (4) 市政一般について  鈴木マサホ議員 (5) 市政一般について  日置文章議員 (6) 市政一般について  谷口弘昌議員--------------------- 〔午前10時1分開議〕 ○議長(磯辺とし子) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、席上に配付致しておきました。 本日の会議録署名者を指名致します。山中渡議員と小林あきろう議員とにお願い致します。--------------------- ○議長(磯辺とし子) この場合、議長から御報告申し上げます。 本日、中村三之助議員は公務のため出席されておりません。 次に、今回受理致しました請願5件及び陳情3件は、お手元に配付してあります文書表のとおり、所管の常任委員会に付託又は回付致します。 以上、御報告申し上げます。御了承願います。--------------------- ○議長(磯辺とし子) 昨日に引き続き、これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので、これを許します。市政一般について、北山ただお議員。 〔北山ただお議員登壇(拍手)〕 ◆(北山ただお議員) 私は、日本共産党京都市会議員団を代表致しまして、深刻な京都経済をどのように立て直していくのかを中心に致しまして市長並びに理事者に質問致します。 年の瀬を目前にして不況の度合いは大変ひどくなっております。日銀は、本年度の実質国内総生産の伸びが2年連続のマイナス成長の予測を発表し、総務省は9月の完全失業率が全国5.3パーセントで最悪の記録を更新したと発表し、近畿では6.6パーセントで更にひどい状況になっております。一昨年の二つの信用金庫の破綻や今回のマイカルの破綻、清水商事の破綻、更に狂牛病問題による被害など京都経済の深刻さはますます募るばかりであります。これをどう打開していくのかが焦眉の課題となっております。我が党議員団は、この不況を打開し、市民生活を守る自治体としての役割を議会ごとに求めてきたところであります。市長は、5月市会では京都経済を支えておられる中小零細企業者の方々を1社でも多く救いたいと述べ、9月市会では国の政策に連動した取組と京都独自の幅広い経済振興策を行うと答弁されておりますが、事態は一層深刻さを増すばかりであります。国会で小泉首相は、景気対策はやらない、構造改革をやり切ると発言しておられますが、この構造改革とは、結局不良債権の最終処理を名目とした大銀行救済策であり、中小商工業者の倒産を続発させ、大量の失業者を作り出すものであることがいよいよ明白となってきたのであります。新聞インタビューで京都銀行の頭取は、不良債権最終処理が進めば不況が更に深刻化し新たな不良債権の発生につながるおそれもある。最大の不良債権対策は景気を回復させることだと言って事実上小泉構造改革を批判しておられるところであります。 そこで市長に伺います。京都経済の今日の実態をどのように認識しておられますか。また小泉内閣の進める構造改革で本当に京都経済を立て直すことができるとお考えなのでしょうか、明確な答弁を求めるものであります。 京都市として思い切った手立てを打つことなしには京都経済の再生はあり得ません。私は、五つの点について市長にただすものであります。 第1には、今こそ市内全事業者の実態調査を行うことであります。東京都墨田区や東大阪市では、職員による事業所調査が進められ、業者の厳しい実態を聴くとともに企業の要望も含めた新たな支援策を打ち出していることは御承知のとおりであります。京都府下でも網野町が11月1日より不況対策本部による生活実態調査を始めました。景気動向と町民の就業状況並びに生活実態を把握し今後の資料とするとともに、町民の生活実態に対する町職員の意識を新たにするとしております。つまり今後の対策を立てるために実態調査をやるということになっております。事業所・企業統計調査を見ておりますと、京都市内の事業所数は11.2パーセントも減少しております。事業所数、従業員数共に全国平均や12大都市平均をも上回る減少率であり、しかも繊維や軽工業などは断トツに減少しておるわけであります。地場産業、伝統産業、商店、市場など京都のまちを支えてきた人たちがどんどん倒産、廃業に追い込まれているのが現状であります。こうした事業所の実態調査を行い、きめ細かい対策を求めて参りましたが、そうした意見に対しまして、これまで理事者は、団体との日常的な情報交換や職員によるヒアリングなどを行っていると答弁されてきましたが、このような一般的な取組にとどまっているところに京都経済の深刻な現状が打開できない原因があるのではないでしょうか。広く市内事業者の実態を調査し市民の要望を聴いてこそ現状打開の意欲と効果的な対策が採れるのであります。年末間近の今こそ事業所実態調査を行うべきでありますが、その決意を求めるものであります。マイカル破綻や狂牛病問題など京都経済と市民生活に重大な影響を与える問題が発生すれば、直ちに相談窓口を広げ対策本部を設けて調査を機敏に行うことなどは当然のことであります。 質問の第2は、融資制度の一層の拡充と柔軟な対応をすべきことであります。制度融資全般の申込みが減っておりますけれども、これは営業の後退で借りたいけれども返済する能力がなくなっている京都経済に実態があるわけです。瀬戸際に来ている業者を応援することこそ今求められておるわけであります。私は、制度融資の利率を市の補助により事実上ゼロにすること、更に据置期間を1年から3年にすること、今借り入れている債務の条件変更には柔軟に対応することを求めるものであります。条件変更に関しては、昨年12月に当時の通産省から中小企業金融安定化特別保証制度における既往債務の条件変更に関するガイドラインが出され、その中では据置期間の延長や条件変更を行った中小企業から再度保証申込みがあった場合、対象外にしないことなどが示されております。更に中小企業庁から条件変更等に関するガイドラインの一層の徹底について指導強化が示されております。制度融資全般にわたってこの趣旨で取り組むことが必要であります。市長は、今年2月議会での予算説明の中で、資金面からの支援に万全を期して参りますと述べておられるわけでありますが、思い切った対策に転じることこそ今求められているのではないでしょうか。市長の明確な決断を求めるものであります。 第3には、官公需の発注を地元中小業者に大幅に振り向けることであります。86年度の83.2パーセントに比べて昨年度の中小企業発注率は75.1パーセントにとどまっております。これまでの議会答弁で市長や理事者は、努力している。国の発注率から見れば高いなどと答弁されてきましたが、これまでの実績からも後退しているわけであります。新たな財政を組まなくても予算を地元中小業者に振り替えるだけですぐできるわけであります。来年度予算編成が厳しいことばかり強調しておられますけれども、地元の仕事確保にこそ努力すべきであります。確実に発注を増やすことを確約してください。特に公共事業の分離、分割発注の具体化が今求められております。あらゆる工事で分離、分割を検討し中小業者に仕事を確保していくことはこれまでも求めてきたところであります。理事者も分離、分割発注に努力すると言われて参りましたけれども、果たして努力がどのようにされたのか検証されておりません。私は、工事発注に当たって分離、分割で地元発注に努めたことを制度的に検証できる体制を求めるものであります。そして検討内容をすべて市民に情報公開するよう求めますがいかがでしょうか。今後も市営住宅の全面的改善事業や学校の改修事業、小修繕、地下鉄延伸関連事業、福祉施設建設など市民に必要な事業は続くわけでありますから、分離、分割発注の体制を明確にすべきであります。また具体的な地域経済振興策として住宅リフォーム資金助成制度などを実施して緊急な仕事確保をすべきであります。現に実施している明石市では2,000万円の補助金で2億4,000万円の仕事を興すなどその効果を挙げており、本市においても実現を強く求めるものであります。 第4には、目前に迫った越年対策です。厳しい経済情勢、雇用不安の下で少しでも市民の期待にこたえることが行政の役目であります。融資相談を土曜、日曜も含めて年末ぎりぎりまで取り組むこと、駆け込み資金貸付けを通年化させ金額も引き上げることを実施すべきですが、答弁を求めます。 京都市は水道、下水道料金の値上げや日本一高い市バス運賃の押し付けを行い、上下水道料金の福祉減免制度を政令市でただ一つ拒否するなど市民生活に負担を押し付けて京都経済を一層深刻なものに追い込んでおります。市長は、財政非常事態宣言を出して財政不足が580億円も出るから公営企業会計への任意補助金を96億円も休止すると発言しておられます。しかし、市バス事業や地下鉄、上下水道事業は市民生活にとって切り離すことのできない重要な事業であります。補助金を削れば必然的に市民負担がかぶせられます。こんな冷たい政治は認められないことは明らかであります。 第5には、本市の地域経済の振興を目的とした地域経済振興条例を制定して京都経済の系統的な振興を図ることであります。9月市会で理事者の答弁では、不況対策本部の設置や条例の制定は考えていないと述べられております。地域振興を目的として条例制定した他都市の例えば八尾市とか東京都墨田区などでは、積極的な取組が始まり市民からも信頼が寄せられております。市長は、なぜ地域振興条例に反対するのでしょうか、直ちに制定されることを求めるものであります。 次に、雇用対策についてお尋ね致します。冒頭にも述べましたが、ついに完全失業率は5.3パーセント、失業者数は過去最大となり、近畿では6.6パーセントと7箇月連続で6パーセント台を記録しております。潜在失業率は10.4パーセントという試算もされておるわけであります。建設業やIT関連、電気、自動車、鉄鋼など全分野でのリストラが進み事態は深刻であります。私は、先日市内のハローワークをのぞいてみました。入り口まで人が並んでパソコンの求人案内を多くの方が待っておられたわけであります。国では、厚生労働大臣が解雇ルールを法制化する、つまり解雇をやりやすくすることを発言するなど大企業を中心としたリストラを更に推し進めようとしているわけであります。 雇用について三つの点で質問致します。第1には、直ちに相談窓口を開いて市民の相談に乗ることであります。市職員が直接声を聴き親身に相談に乗ることが緊急に必要であります。雇用は国や府の仕事と割り切らず、緊急体制をしくことは行政の責任であります。第2には、リストラアセス制度を確立して大企業の身勝手なリストラを規制することであります。岩手県や山形県、宇治市など大企業の撤退や大量首切りを強行して自治体そのものが財政困難に陥っていることや住民生活に不安を与えていることが報道されております。電機業界では国内で5万人の首を切りながら、外国では20万人の雇用を図るなどその勝手さは目に余るほどであります。京都府下でも島津製作所の800人以上のリストラ公表をはじめ、京都にかかわる企業26社で14万人ものリストラ計画も報道されており事態は深刻になっております。労働を所管する京都府では、大企業の身勝手なリストラを外国でも実施されている法的規制を行うよう求める意見に対して、知事は、一律に法規制することは適当でないと答弁して大企業の身勝手さを擁護しているのであります。これでは雇用が守れないのは明らかではありませんか。大規模な首切りやリストラを規制する法整備を行うことを国に求めていくべきでありますが、市長の決意を伺います。第3に、現在失業している人の雇用創出のために緊急地域雇用特別交付金の更なる継続と雇用期間の延長や、この制度の適用事業を拡大することを求めるものですがいかがでしょうか。この特別交付金は3年間実施されてきたわけでありますが、どのように効果を発揮したか、また今後の雇用に当たっては市民生活を直接応援できるものにすることを求めるものですがいかがでしょうか。 次に、国民健康保険について質問致します。市民の24万5,000世帯、約46万人が加入する国民健康保険は命のとりでであります。2000年度国保会計は20億6,923万円の赤字決算となっていて7年連続の赤字であります。今日の危機的状況を作り出してきた最大の責任は国にあることは言うまでもありません。国庫負担率を大幅に減らし、多額の事務費の超過負担を押し付け、国保制度を深刻にしてきたわけであります。市長は、深刻な自治体の国保財政を立て直すために国に対して制度破綻を食い止める財源確保と国保制度健全化策、国庫負担率の引上げを強力に求めるべきですが、その決意を明確にお答えください。 次に、短期保険証や資格証明書の発行はやめ加入者全員に保険証を渡すことの実行を求めるものであります。今年4月から、1年以上滞納した場合、保険証を取り上げ資格証明書を交付することを義務付けておるわけでありますが、京都市はこの法施行以前から制裁措置を強行してきたわけであります。2000年度と5年前とを比較してみますと、資格証明書の発行は5.6倍、短期保険証交付は2.6倍、合計で2.96倍となっていて、京都市は命の差押えをしてきているのであります。減免制度の活用や分割払など十分な相談に応じるべきであり、機械的な取上げをすべきではありませんがいかがですか。また国保加入世帯の6割が非課税世帯であり、元々低所得者や高齢者で構成されているうえに、今日の不況の影響で払おうにも払えない世帯が増えているのであります。思い切った不況対策として高すぎる国保料は値下げをすべきでありますがいかがでしょうか。 次に、30人学級の実現について伺います。すべての子供たちに行き届いた教育を進め、心の通い合う学校を作ることは誰しもが願うところであります。しかし、いじめや不登校、子供殺傷事件、学級崩壊など子供と教育を巡る状況は一層深刻です。とりわけ一人一人が分かるまで教えてほしいという子供の願いはますます大きくなっていて、その解決のためにも30人学級は待ったなしの課題であり直ちに実施すべきであります。現在京都市は、40人学級のままで算数など特定の教科に限ってクラス分けをする少人数授業となっております。一部教科の少人数授業より、学級規模を30人にすることこそ父母や教職員の声にこたえるものであり、何よりも子供たちの健全な発育に必要であると考えるものであります。今年の4月から義務教育標準法の改正があり、都道府県の判断で国基準を下回る学級編制をすることが可能となりました。全国の自治体を見ましても、山形県では二、三年のうちに全市町村で30人学級を実施することを表明しております。秋田県では小学1、2年生で30人学級編制を行う、青森県でも来年度から30人学級を表明し、埼玉県志木市では小学1、2年生を25人学級にすると言っております。今年の9月末で全国自治体の約半数に当たる1,625の自治体で30人学級を求める政府への意見書が採択されており、今や全国的な要求となっております。京都市の現状を見ますと1クラス31人以上のクラスは小学校で1,183、児童数は4万1,566人で全児童数の61.4パーセントを占め、中学校では864クラス、児童数は3万1,281人で実に全児童数の95.2パーセントとなっております。山科区でも小学校で全児童数の74パーセント、中学校では100パーセントが31人以上のクラスとなっているのであります。京都市で約1,000人の教職員を確保すれば30人学級が実施できるわけであります。正規の教員を採用して雇用対策としての実も上げながら直ちに取り組むべきであります。教育条件に責任を持つ京都府は、国の財源措置する範囲でしか実施しないと言っております。京都市が30人学級を早期実施することを強く求めるものであります。答弁を願います。 不況により高校を中退せざるを得ない生徒や給食費の滞る児童など子供の教育にも大きな影響が出ております。ところがこの厳しい中で、京都府は府立学校授業料の値上げを強行してしまいました。市立学校の値上げは断固として行わないことを強く求めておくものであります。 最後はバリアフリーのまちづくりについて具体的な点についてお尋ね致します。JR山科駅は1日6万人が利用する交通の重点駅でありますが、エレベーターもエスカレーターも障害者用トイレもありません。ところが今後10年間も待たないと出来ないというのであります。足の不自由な方は京都駅までタクシーで行って汽車に乗ると言われ、あるお年寄りは山科駅に上がることができれば世界が見えるとまで言われております。京都市は交通バリアフリー推進会議を設立され、今年度中に122駅を調査して全体構想を検討し、来年度に重点整備地区の選定を行ってから整備に入ると広報されております。しかし、JR西日本は特に整備が遅れているのであります。1日の乗降客が5,000人を超える駅は京都府内で292駅ありますが、設置されているのは72駅、24パーセントでしかありません。2010年までにバリアフリー化を実現することになっているわけでありますが、JRは10年後に全駅設置するが5年後でも山科駅は入っていないと言われております。地元挙げての運動が進められているわけでありますから、一日も早い実現を目指して取り組まれることが求められるのでありますが、京都市におけるその決意を伺って私の第一質問と致します。(拍手) ○議長(磯辺とし子) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 北山ただお議員の御質問にお答え致します。 中小企業のまち京都経済の認識についてお答え致します。我が国の経済は、力強さを欠く設備投資、個人消費や昭和28年の調査以来最悪となった失業率など一段と厳しさを増しております。京都経済につきましても、全国的な課題に加え和装産業をはじめとする伝統産業の低迷など依然として誠に厳しい状況にございます。政府は、改革なくして成長なしとの方針に基づき、現下の緊急課題である雇用対策を最重点とした平成13年度補正予算を編成されたところでございます。このような状況の下、一日も早い景気回復と中小企業の活性化を図るため、京都市独自の施策はもとより、国の政策とも連動した取組を通じまして幅広い京都経済振興策に全力を傾注して参る決意でございます。 以下、高木副市長、教育長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(磯辺とし子) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一) 最初に制度融資についてお答え致します。大企業の倒産や狂牛病問題、米国におけるテロ事件など急変する経営環境に対応するために、可能な限り低金利でかつ長期の融資制度を設けまして中小企業者の皆様方に幅広く活用していただいているところでございます。融資条件の変更につきましては、これまでから返済期間の延長など柔軟に対応してきたところでございますが、複数の借入れにより経営上苦労しておられるやる気のある中小企業者に対しまして、返済期間の延長と月々の返済額の軽減を目的とした借換えのための緊急融資を新たに創設して参ります。御質問の金利負担の全くない制度融資は考えておりません。また年末における融資相談につきましては、中小企業支援センターにおいて12月の土曜日を臨時相談日として業務を行います。なお夏季・歳末特別生活資金貸付制度につきましては、市民の皆様にお盆やお正月などの一時的な生活資金として御利用いただいているものでございますが、貸付限度額など他都市と比べましても充実した内容でございますので、厳しい財政事情を勘案致しますと限度額の引上げ及び貸付けの通年化は極めて困難でございます。 次に、雇用対策につきましては、議員御指摘のリストラ問題を含め雇用労働行政を所管する国及び京都府が法制度の整備をはじめ相談業務など責任を持って取り組んでおられるところでございます。財政非常事態の中で、御質問のような二重行政をこれ以上増やすことは考えておりませんが、京都市におきましてもベンチャー企業目利き委員会京都起業家学校の運営など全国に例を見ない独創的な創業支援事業をはじめ、本市の実施します様々な施策や事業が効果的に景気回復と雇用確保に結び付くように努めているところでございます。また平成14年度国家予算要望におきまして、緊急雇用特別対策事業の継続実施をはじめとする雇用対策の充実について強く求めて参りました。こうした要望や昨今の雇用情勢の悪化を踏まえ、この度新たな緊急地域雇用特別交付金の創設を含めた国の補正予算が成立したところでございます。京都市と致しましても、今後京都府に必要な要請を行うなど適切に対応して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 成瀬理財局長。 〔成瀬理財局長登壇〕 ◎理財局長(成瀬英夫) 地元中小企業に対する発注拡大についてお答え致します。平成12年度の地元中小企業に対する契約実績の比率は前年度に比べ約10ポイント増加し、本市の契約金額全体の75パーセントを超えております。本市の公共事業等につきましては、従来から地元中小企業への発注を基本と致しまして可能な限り分離、分割発注を実施しているところでございます。今後も引き続きこの原則をしっかりと守って参ります。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 西口産業観光局長。 〔西口産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(西口光博) 市内事業者の実態把握についてお答え致します。中小企業支援センターを含めた日常的な調査のほかにマイカルグループの民事再生法適用申請、同時多発テロ事件あるいは牛の海綿状脳症などの問題発生時には速やかに職員が関係業界や企業等に足を運びまして、きめ細かいヒアリングを実施しております。今後とも画一的で大規模な調査よりもむしろ日々の業務を通じまして、また問題が発生した場合には関係業界等の状況を迅速に把握するよう努めて参ります。 次に、地域経済振興条例の制定についてでございますが、京都市では地元経済の振興を図るために商工、観光、農林のそれぞれの分野におきまして本市行政全般にわたる具体的施策を盛り込んだ振興計画を策定しております。現在これらの振興計画の推進に市長を先頭として全庁的に取り組んでおり、条例の制定は考えておりません。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 井尻保健福祉局長。 〔井尻保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(井尻浩義) 国保財政健全化のための財源確保についてでございますが、国民健康保険制度は他の医療保険制度と比較して財政基盤が脆弱であるうえ、高齢社会の急速な進展に伴う医療費の増嵩などにより財政運営は極めて憂慮すべき状況にあります。このため本市では、かねてから国に対しまして被保険者や市町村に過重な負担を招かないよう医療保険制度の抜本改革の早期実現を強く要望しているところであります。 次に、国民健康保険料滞納者への対応についてでございますが、本市では国民健康保険制度の趣旨を十分説明するとともに、減免制度の活用を含めたきめ細かな納付相談を行っており、資格証明書や短期証の機械的な発行は従来から行っておりません。また特別な理由もなく保険料を滞納している方に対しましては、国民健康保険法の定めにより資格証明書や短期証を交付することもやむを得ないものと考えております。 次に、国民保険料の値下げについてでございますが、本市の国民健康保険財政は平成12年度決算におきまして過去最高の94億円もの巨額な赤字となっております。平成13年度では保険料の引上げをお願い致しますとともに、厳しい本市の財政状況の下、一般会計から135億円もの繰入れを行ってもなお累積赤字の解消に至らない状況にあります。このように本市の国民健康保険事業は危機的な財政状況にあり、保険料を引き下げることは事業運営の破綻につながりますので実施する考えはございません。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 西都市計画局長。 〔西都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(西晴行) JR山科駅のバリアフリー化に関する御質問についてでありますが、昨年11月に交通バリアフリー法が施行されたことを踏まえ、本市では本年度から2箇年掛けて本市域のすべての旅客施設を対象とした京都市交通バリアフリー全体構想を策定致します。この全体構想の中においては、旅客施設の長期的なバリアフリー化推進に係る基本方針を定めるとともに重点的に整備する地区の選定を行うこととしております。この取組を進める中でJR山科駅を含め本市域の旅客施設のバリアフリー化について検討を行って参ります。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕 ◎教育長(門川大作) 30人学級についてでありますが、本市では国の措置に先駆け政令指定都市で初めて独自に教員を配置した少人数教育の実践研究や小学校での専科教育などに積極的に取り組んでおります。義務教育の小中学校の教員の給与は、基本的に国と府県が負担する現行制度の下、学級編制の弾力化のためには国段階における教員定数の抜本的な改善が不可欠であります。今後とも国に対して強く要望して参ります。以上です。 ○議長(磯辺とし子) 北山議員。 〔北山ただお議員登壇(拍手)〕
    ◆(北山ただお議員) ただ今市長並びに理事者より答弁がありました。詳細は決算委員会でただしていきたいと思います。 狂牛病問題についてのみ一言質問致します。昨日のニュースによりますと、北海道において新たな狂牛病の牛が出たことが明らかになり報道されております。昨日、本市でも緊急対策会議が開かれ協議されたとのことでありますけれども、直ちに国に対して対策強化を求めるとともに一層の検査体制の強化と関連業界への対応が求められていると思いますが、その点についてはどのようになっておりますか。この点について第二質問と致します。(拍手) ○議長(磯辺とし子) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一) 狂牛病対策については二つの側面がございます。一つは生産者対策でございまして、市内14戸すべての飼育農家を巡回致しまして238頭すべてを検査致しましたが、目下のところ異常牛は見付かってはおりません。万全の飼育指導を行って参りますが、確実な感染防止策の確立のためには感染ルートの解明が必要でありますので国などから情報収集に努めております。一方、流通につきましては、中央卸売市場第二市場におきまして処理するすべての牛を厳重に検査しておりまして、10月18日以降昨日まで667頭中1頭も感染が疑われるものはございませんでした。万一感染牛の疑いのあるものが発見されました場合は直ちに出荷を停止致します。全国的に同様の対応が行われると聞いておりますので感染牛が販売されるとは考えられません。市民の皆様には御安心いただきたいと存じます。以上でございます。--------------------- ○議長(磯辺とし子) 次に、市政一般について、西野さち子議員に発言を許します。西野議員。 〔西野さち子議員登壇(拍手)〕 ◆(西野さち子議員) 私は、伏見区選出の西野さち子です。日本共産党市会議員団を代表致しまして社会保障問題を中心に市政一般について質問致します。 先の9月議会で我が党は、小泉内閣が進めようとしている医療保険改革に対して自治体や被保険者の負担増ではなく国庫負担を計画的に元に戻し、薬価の見直しなどの医療保険制度の改革に取り組むべきとの意見書を提案致しました。健保自己負担を2割から3割に引き上げ、老人保健制度の適用年齢を75歳まで段階的に引き上げるなどの改革は、国保制度が破綻の危機に直面している多くの自治体や国民に出口の見えない矛盾を押し付けることになります。お金の切れ目が命の切れ目とも言われ国民の不安はますます大きく広がっています。例えば上京区のある開業医の方は、開業して15年になるが、うちの患者さんで10人の自殺者が出ている。仕事に行き詰まり、病気を苦にして自らの命を絶つ人がほとんどです。病気になっても病院に行けないのですとおっしゃっています。また、北区の泌尿器科の先生は、最近高齢者に前立腺癌の方が増えているが、外来で注射での治療ができるようになりました。治療は月2回必要ですが、負担ができないため1回しか来られない。1割負担の8,000円が払えないのですと心配されていました。また、今医療機関に掛かっておられる方数人にお聞きしましたところ、50歳代の方ですが、色々な検査をして薬をもらったら7,000円掛かった。もう病院には行けないと言う方や、お聞きしたほとんどの方が薬は1日3回のところを1回か2回にして少しでも薬をもらう回数を減らしているとおっしゃっています。昨年南区で、医療機関に掛かっておられ入院を勧められていた国保料滞納者が治療に来なくなったため探していたら、長岡京市の空きビルで亡くなって発見されたということもお聞きしました。京都府保険医協会の調査によりますと、医療保険改革が行われますと、特に70歳から74歳の負担増が著しく、一般の外来で5.8倍から10.8倍になり、在宅患者で11.4倍というケースまで出るということです。ですから受診中の70歳以上の患者さんのうち7割が受診回数を減らすと回答されています。病院にも行きにくく、薬も医者の指示どおりにのめない現状です。このうえ更に痛みを押し付けるわけですから、国民の健康を真剣に考えない理不尽極まる改革と言わざるを得ません。京都府医師会の健康きょうとというパンフレットでも、こんな制度改革が本当に日本のためになるのでしょうか。増えるのは患者さんの痛みばっかりと書かれています。本日のある新聞ではこのように報道されています。ここの主催者の下の欄には京都市地域女性連合会などたくさんの皆さんが詳細を書かれているわけです。今年度の京都市の国への予算要望には、被保険者や地方自治体に負担を転嫁することなく制度が長期的に安定するような医療保険制度の抜本改革の早期実現とあります。京都市民の健康を守るために、市の国への予算要望にも逆行し国保財政を更に悪化させる小泉内閣の医療改悪に市長が先頭に立って反対すべきです。社会保障費に占める国庫負担の割合を1980年から8年間で10パーセント、9兆円も減らしていることは重大です。国保や老人医療など減らし続けていた国庫負担を計画的に元に戻すように国に対してはっきりとものを言うべきだと思いますがいかがですか、お答えください。 次に、介護保険制度についてお伺い致します。制度開始から1年がたちました。保険料は10月からは今までの倍額徴収ですから、ますます払いにくくなっています。滞納して介護を受けられなくなる事態が起こりかねません。10月から低所得者の救済制度の一つとして第2段階の人を対象に減額制度がスタートしました。当初対象が3,000人と言われていましたが、相談件数1,300人で、そのうち適用が172人と当初の予想よりかなり少ない現状です。なぜでしょうか。原因の一つは厳しい基準ではありませんか。例えば収入基準で見ますと、京都市は独り暮らしの方で96万円以下となっていますが、千葉市では132万円、仙台市では120万8,000円です。預金で見ますと、京都市は家族の人数に関係なく100万円以下ですが、千葉市は世帯の収入基準の2倍以下、仙台市は独り暮らしの方で241万6,000円、家族2人で342万2,000円ですし、大阪市は350万円以下となっています。京都市の場合、2人暮らしで1箇月12万円以上の収入があれば減額の対象になりませんから生活保護基準以下です。他都市と比べても基準が厳しいと言わざるを得ません。これで低所得者の方たちを救うことになるのでしょうか。本当に困っている人を救うために基準の緩和を求めます。また、対象になる方でこの制度をまだ御存じない方が多いのも適用人数が少ない要因の一つではないでしょうか。払いたくても払えない人のために、せめて第2段階の人には全員に減額制度のお知らせを郵送するなどもっと広報すべきです。いかがですか。また、介護保険利用料の1割負担ができないために介護を減らすという実態もあります。介護保険利用料の減免制度の創設を求めます。 また、この介護保険制度は自分でサービスを選ぶことができると始まったはずの制度ですが、来春に開設が予定されている特別養護老人ホームでは70人定員のところに600人の申込みがあったということですし、北区のある特別養護老人ホームでは700人の待機者があるなど施設が全く足りません。先日、我が党議員団で横浜へ視察に伺いました。横浜市では、施設から名簿を提出してもらい本人や家族に面接しておられました。色々な困難や問題もあったということですが、それでも正確に実態を知る必要があると、延べでなく実人数での待機者数を調査しておられました。次期計画を立てるためにも特別養護老人ホーム待機者数を実数で把握すべきです。そして無駄な公共事業を見直し福祉に財源を回すことで早急に施設建設を急ぐべきですがいかがですか。 次に、市立病院の手話通訳者についてお聞きします。専任の手話通訳者が配置されていません。そのため聴覚障害者の方は、まずFAXを聴覚言語障害センターに送って手話通訳者の予約をしなくてはなりません。勤医協札幌病院は民間ですが、聴覚障害者の受診率が低いのは問題があるとして、障害者が病気を我慢して通訳者の都合に合わせたり予約してからでないと治療ができないということのないようにと専任の手話通訳者を配置されています。以前は聴覚障害者の年間受診者数が350件程度だったものが、現在では1,600件を超えて実に受診率は4倍になっています。また専任にされた理由として、医学用語の通訳が難しいということもあるということです。京都市では障害者手帳の発行数は年々増加していますし患者数も増加しています。障害者だからと受診の機会を奪うことは許されません。民間ではなかなか難しいことだからこそ公立病院がその役割を果たすことが求められています。一日も早く市立病院に専任の手話通訳者を配置すべきですがいかがですか。 次に、交通問題についてお聞きします。来年2月からバス事業の規制緩和が始まります。当初市長は、規制緩和になれば大変なことになる。厳しいと危機感を持っておられました。ところが9月議会では、規制緩和を逆に歓迎するような姿勢に変わっています。河内副市長は、規制緩和は事業者に創意工夫を発揮させ、よりよいバスサービスが提供されるようになる。府の地域協議会に市も参画して生活交通の空白地を作らない議論をしていると答弁されました。しかし、バス事業に自由に参入できるとなれば、黒字路線はどんどんバスが走りお客の取り合いをするが赤字路線は廃止ということになり交通空白地を増やすことになるのではありませんか。これでは市民に対して余りにも無責任と言わざるを得ません。市民の足を守るためにも公営交通を破綻させる規制緩和は凍結するように、今からでも国に対してはっきりと意見を言うべきです。市長のお考えをお聞かせください。 私は2年前の立候補の際に、醍醐地域に小型循環バスをと公約に掲げ、住民の皆さんと共に粘り強く運動を広げてきました。一部では、できもしないことと冷たい声もありましたが、地域の大きな願いは党派を超えて広がりました。そして9月の企業決算特別委員会市長総括質疑で、醍醐地域に小型循環バスを走らせる必要があるとの私の質問に対して、市長は交通弱者にとっても魅力ある地域づくりを進める観点に立ってもコミュニティバスの導入は大変大きな期待が寄せられている。住民の皆さんの要求にこたえ得る方策を樹立したい。精一杯努力すると答弁されました。醍醐地域での循環バス運行はいよいよ実現の運びになってきましたが、京阪バス任せにするのではなく、京都市が責任を持って広く住民の皆さんの意見を聴き、走るからには本当に住民の皆さんが望んでおられるバスにすることが重要です。走ったががらがらのバスでは意味がありません。小型、低床、100円のバスは全国的にも増えていますし、住民の皆さんの願いもそこにあります。市民の願い実現に向けて市長の決意をお聞かせください。 次に、10月に発表されましたきょうと男女共同参画推進プランの素案についてお聞き致します。京都市の第2次女性行動計画は、基本理念に基本的人権の尊重と両性平等を掲げられています。このことは日本国憲法や世界女性会議の平等、開発、平和の理念と一致しており評価できるものです。しかし、今回示されました素案からはこの理念がすっかり抜け落ちています。何よりもニューヨークで起きた同時多発テロに対してアメリカが報復攻撃を続けている今、平和、核兵器廃絶を日本政府をはじめ世界に向けて発信することが最も求められていますし、すべてのプランは平和な社会が守られてこそ進められるものです。ところが素案では、平和についてはほとんど触れられていません。伏見区小栗栖地域には戦争の犠牲者というべき中国残留日本人孤児帰国者の方やその2世、3世の方たちが大勢住んでおられます。私たちの身近な所に今も戦争の傷跡が残っています。1995年の第4回世界女性会議で採択された北京宣言で、平等、開発、平和が明確にされました。素案では、基本方針で少しだけ触れられていますが、これでは非常に不十分です。非核平和都市宣言の具体化を盛り込むべきですがいかがですか。 二つ目の問題は、昨年1年間の夫から妻への暴力の検挙数が全国で1,096件もあり、女性に対するあらゆる暴力の根絶を言いながら、具体的施策に夫や恋人などの暴力から女性が一時避難するためのシェルターの設置が消えていることです。ネットワークを通じた被害者の総合的支援、母子生活支援施設等における保護、指導、生活援助の充実とあるだけです。来年4月から都道府県の設置義務になりますから、京都府に対して設置を急ぐように要求すると同時に147万市民に責任を持つ京都市としてシェルターの設置を盛り込むべきです。 三つ目の問題は、深刻な不況の下、女性労働者は真っ先にリストラの対象にされたり、相変わらず男女の賃金格差は大きいままという現状もある中で、女性が働くための条件整備についての項目が5月に出された京都市男女共同参画懇話会の提言からも大幅に後退していることです。とりわけ問題なのは、提言で盛り込まれていた自営業における女性の就業環境の改善の項が削除されていることです。提言には、女性は自営業、農業等の担い手として重要な役割を果たしてきましたが、正当な評価を受けているとは言えません。自営業、農業等を振興するためにも男女共同参画を確立する施策の推進が求められていますと業者婦人について採り上げられていました。中小業者は家族労働によって支えられているにもかかわらず、税制面でも控除対象にならないなど家族の働き分は認められていません。特に業者婦人は昼夜を分かたず働きながら、育児や家事、介護と自分の健康を省みる余裕もない状況です。家族の労働と健康の実態調査をまず行うこと。そして女性が快適に働くための条件整備など施策の充実を図ることが求められています。1999年に参議院では、男女共同参画社会基本法によって業者婦人の人格が平等に認められる施策の充実を図り安心して営業と生活ができるようにとして、業者婦人の地位向上と実態調査を求める請願が全会一致で採択されているのになぜ削除されたのでしょうかお答えください。第1次行動計画では様々な女性団体や市民に広く意見を聴き進められてきました。しかし、今回の素案は簡単なダイジェスト版で11月30日までの市民の意見公募に終わっています。説明会や公聴会をきめ細かく開き多くの女性の意見が反映できるものにすべきです。これらのことを総合的に考えても、第2次行動計画からの大きな後退になっているではありませんか。実効あるプランの制定に向けて市長の考えをお聞かせください。 最後に、モロッコのマラケシュで開かれていましたCOP7で京都議定書の運用ルールが合意され、ようやく日本政府も批准する方針を決めました。二酸化炭素などの温室効果ガスを削減する義務が課せられますから急いで環境問題に取り組まなくてはなりません。そこで、中でも重要な位置を占める京都市のごみ減量計画についてお伺い致します。京都市は1999年6月に一般廃棄物処理基本計画、8月にごみ減量・リサイクル行動計画を発表しました。ごみ減量目標を2010年に1997年の15パーセントまで削減するというものです。家庭系ごみで10パーセント、事業系ごみで20パーセントの実質削減の方向が出されていますが、計画発表から2年が過ぎ、現状はどうでしょうか。2000年レベルでは家庭系ごみが約5,000トン減っているのに比べ、事業系ごみは約2万4,000トン増えています。総量で約1万8,000トンの増量になります。このままでは減量計画が目標だけに終わりかねないのではありませんか。どこに原因があると考えられますか。既に2年が過ぎています。計画の初めの段階で減らすことができなかった原因を明らかにし、ここで思い切った減量策を採る必要があるのではないでしょうか。一つには、ごみとなるものを作らない排出抑制です。1984年、全国に先駆けて空き缶条例を制定したように、京都市が国や企業に言うべきことをはっきりと言い、生産者責任、デポジット制度、学校教育に取り組むことです。二つには、缶、瓶、ペットなど資源ごみの分別収集です。ごみを減らすために分別しても持っていく所がないのが現状です。これを改めて、分別、リユース、リサイクルのシステムを作ることです。そして三つ目には、ごみ減量計画に見合った焼却炉削減などの施設整備計画となるように抜本的見直しをすることです。年次計画目標と具体策を決め思い切った減量策を採ることを求めます。東部山間埋立地に建設計画のある焼却灰溶融炉については、京都市で初めての施設でもあり高温で焼却灰を溶融することから周辺住民に不安を与えています。まず安全性を解明し、本当に安全で有効な施設であるとなれば住民に納得のいくまで十分に説明することが第一ではありませんか。埋立地を少しでも長期にわたって使用するためにも、ごみを減らすことは緊急の課題です。15パーセント削減計画は環境を守るための第一歩です。必ず目標達成するための具体策と決意をお聞きしまして私の質問と致します。ありがとうございました。(拍手) ○議長(磯辺とし子) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 西野さち子議員の御質問にお答え致します。 医療制度改革についてでございますが、我が国の医療保険制度は、社会保障の基盤として、これまで世界最高の平均寿命や高い保険医療水準を実現して参りました。しかしながら、急速な少子長寿化や医療技術の進歩、低迷する経済状況、国民の意識など医療を取り巻く環境は大きく変化してきており、現在国において厚生労働省の改革試案が論議されているところでございます。本市では、かねてから国に対し医療保険制度間の格差の解消はもとより、被保険者や地方自治体に負担を転嫁することなく長期的に安定したものとなるよう制度の抜本的な改革を要望して参りました。今後とも先の9月市会定例会で採択されました意見書の趣旨を踏まえ、市民の皆様が安心して医療を受けられるよう国に働き掛けて参りたいと考えております。 以下、副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(磯辺とし子) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一) きょうと男女共同参画推進プランについてお答え致します。このほど公表致しました素案は、男女共同参画懇話会の提言を踏まえて策定し、今月末までの間に幅広く市民意見を募集しているところでございます。このプランの基本理念は、男女が等しく個人として尊重され、性別によらない多様な生き方が保障されるとともに、あらゆる場において共に責任を担いつつ個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現という内容でございまして、市民の皆様とのパートナーシップの下に、人が輝き未来への夢を彩るまち京都の実現に取り組むことと致しております。御指摘の平等、開発、平和に関しましては、国際交流と協力による国際社会への貢献として今回はプランの具体的施策に採り入れております。 次に、シェルターの設置につきましては、配偶者暴力防止法に基づき都道府県が一時保護機能を持つ配偶者暴力相談支援センターを設置することになっております。京都市と致しましては、これまでから母子生活支援施設で一時保護を実施しておりますが、今後は京都府との連携を強めながら、これらの施設を活用した取組を進めて参ります。 また在宅就業につきましては、プランの推進施策に位置付けておりまして、今後とも関係機関と連携し、働きやすい環境づくりに向けた調査研究を進めて参ります。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕 ◎副市長(河内隆) 乗合バス事業の規制緩和についてのお尋ねにお答え致します。平成14年2月から道路運送法の改正が施行され、この規制緩和により事業者の創意工夫を促進し事業の活性化を通じて提供されるバスのサービス向上を目指すこととされております。この改正法の施行に伴い乗合バス事業の撤退などにより生活交通の確保が必要となる場合につきましては、都道府県が主催する地域協議会において必要な措置を協議することとされたところであります。したがいまして現実的な対処と致しましては、今後、国に対しては規制緩和の凍結を要望するのではなく、市民生活に混乱が生じることのないよう生活交通の確保に向けた支援策の充実を引き続き強く要望して参りたいと考えております。 次に、バス輸送サービスに関しての御質問にお答え致します。高齢者の方々や障害のある方のための輸送サービスとして、あるいは地域住民の旅客輸送サービスとして様々な観点からコミュニティバスの取組が全国各地で行われておりますが、事業運営に際しての採算面などの課題もあるところでございます。御指摘の醍醐地域におけるバス輸送につきましては、去る5月に与党会派の先生方が京阪バスに対してバスネットワークの充実につきまして要望されましたことや今般の市会請願を踏まえまして、京阪バスから現有車両を活用しての小循環系統の運行を前向きに検討するとの回答を得ているところであり、今後引き続き協議して参ります。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 上原環境局長。 〔上原環境局長登壇〕 ◎環境局長(上原任) 最初にごみ減量についてでございます。本市の近年のごみ排出量は、各種の取組により家庭系ごみが減少していることに対して事業系ごみのうちクリーンセンターなどに直接持ち込まれるごみが大幅に増加したため全体として増加するという結果になっております。このため持込みごみの抑制に向けて本年7月から経済的なインセンティブを働かせるとともに持込量の上限を設定するなどの取組を推し進めております。今後は家庭系ごみの発生抑制やリサイクルの取組のほか事業所への指導を一層強化するとともに、家電リサイクル法など各種リサイクル法に基づく再資源化を積極的に促し着実なごみ減量を図って参ります。なお施設整備につきましては、新京都市一般廃棄物ごみ処理基本計画に基づいて整備計画を立てております。 次に、焼却灰溶融施設の安全性についてでございます。焼却灰溶融施設は、クリーンセンターで発生する焼却灰を高温で溶かし、冷却固化させることによって焼却灰の容積を減らし、より一層の安定化を図るものでございます。当該施設につきましては、技術的にも確立され安全かつ減量化に有効であるということから国においても設置を指導しており、全国でも40箇所を超える稼働実績があります。関係住民の皆様には既に施設の設置計画並びに有用性、安全性について説明致しておりますが、今後とも十分な説明を行い御理解と御協力を得て進めて参ります。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 井尻保健福祉局長。 〔井尻保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(井尻浩義) 介護保険制度に係る保険料や利用料の軽減につきましては、社会福祉の基礎構造改革を進めていくうえでの低所得者対策の在り方の一つとして基本的には国においてその方向性が明らかにされるべきものであると考えております。しかしながら、保険料を半額とする経過措置期間の終了を踏まえまして、本市独自の介護保険料に係る低所得者対策をこの10月から実施したところであります。これは真に保険料の負担が困難であると認められる方に対する当面の緊急措置として実施したものでありまして、現行の基準はその趣旨に沿った妥当なものであると考えております。また市民周知につきましては、10月1日号の市民しんぶんと併せて配布致しました折込広報紙、介護保険特集号に制度内容を掲載するなど様々な機会を捕らえて広報に努めているところでございます。利用料につきましては、高額介護サービス費の限度額を所得に応じて3段階とすることや訪問介護に係る低所得者に対する利用者負担の軽減、更に社会福祉法人による減免や災害などの場合の減免措置を講じております。今後とも全国一律の基準に基づき、きめ細かい低所得者対策が講じられるよう引き続き国に対して要望して参ります。 次に、介護サービスの基盤整備についてでございますが、第2次京都市高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画に基づきまして在宅介護の充実に努める一方、在宅生活が困難な方も安心して生活が送れるよう必要な施設の着実な整備を図っているところでございます。次期計画におけるサービス必要量につきましては、本年度に実施を予定しております介護保険サービス利用者や特別養護老人ホーム申込者の動向、実態等を調査する要介護高齢者等実態調査の結果を踏まえたうえで検討して参ります。 次に、市立病院への専任の手話通訳者の配置についてでございますが、聴覚言語障害のある方の受診時のコミュニケーションを保障することは重要であると認識しており、これまでから手話通訳が可能な職員の育成に努めるとともに、申出によりまして診察券に耳のシンボルマークのシールを張るなどの取組を行っております。また必要に応じて聴覚言語障害センターの手話通訳者派遣事業を活用して受診していただいているところでございます。手話通訳者の専任配置につきましては、現在の受診状況や厳しい財政状況等から困難でございます。以上でございます。--------------------- ○議長(磯辺とし子) 次に、市政一般について、中村十一議員に発言を許します。中村議員。 〔中村十一議員登壇(拍手)〕 ◆(中村十一議員) 私は、左京区より選出いただいております中村十一でございます。民主・都みらい市会議員団を代表致しまして市政一般に関する質問を行います。 本日は温泉の質問は致しません。今回の質問は、私の趣味の鮎釣りを採り上げ、釣人から見た環境問題を中心に質問致します。 〔磯辺議長退席、梅林副議長着席〕 ◆(中村十一議員) (続)私が鮎釣りを始めてから18年になります。釣り方は友釣りです。鮎は、ある程度成長すると石に付く苔を食べます。そして、ほかの鮎が来ると攻撃します。それは自分の餌場を確保するためです。そうした縄張りを持った野鮎のいる所におとり鮎を近付けます。すると野鮎は自分の縄張りを守るためにおとり鮎に体当たりして攻撃してきます。おとり鮎の尾びれの近くに針を付けていますので体当たりをした野鮎はその針に掛かってしまうというわけです。私が始めた当時の鮎はとても力強さがあり、形も美しく、すいかの香りのする、これが鮎だと言えるようなものでありました。ところが13年ほど前から奇形の鮎が見られるようになり、多いときなど七、八匹に1匹の割合で奇形が混ざるようになりました。どんな奇形かといいますと、背骨が変形し短くなったものが多かったと思います。我々釣り仲間では、胴が短いので金魚と言っております。そのほか鼻がつぶれた顔の丸い鮎も時々見掛けました。なぜこんな鮎が釣れ出したのか、私は不安になり原因を調べることにしました。ダムのある河川では、ダムより上流については海や湖から溯上できないので鮎の業者から稚魚を買ってきてそれを解禁の約2箇月前に放流するのが一般的であります。それで私は、漁業協同組合にどこから仕入れて放流したのかと聞きますと、琵琶湖の鮎であることが分かりました。いわゆる湖産鮎です。私は、奇形の鮎の増加は琵琶湖の水の汚染によるものと考えております。家庭排水や農薬の流入、そして琵琶湖の南側には数多くのゴルフ場があり、そこからダイオキシンが大量に放出されております。ダイオキシンは、農薬そのものではなく農薬を精製する際に不純物として混入しており、農薬を大量に使用するということは、すなわちダイオキシンを大量にばらまいていることにほかならないのであります。 最近では水上バイクの問題も出てきております。また先般大津市で開催されました第9回世界湖沼会議の宣言でも、多くの湖や沼で環境は悪化し続け、湖と人間との調和した共存関係が崩壊しつつあると指摘しております。このまま何の手も打たなければ琵琶湖は今後ますます汚染されていくのは火を見るより明らかであります。京都市民の命の水の源水である琵琶湖の水が汚染されていくのを黙って見ているわけにはいきません。そこでお尋ね致します。まず、京都市の水道は今後とも将来にわたって安全性が確保できるのかどうか。また琵琶湖の汚染問題に対し国や滋賀県に任せるだけではなく、京都市として何かできることはないのかどうか答弁を求めます。 次に、鮎釣りをする人たちは、釣ることともう一つ、釣った鮎を食べることも楽しみにしております。私も色々な川の鮎を食べました。おいしい鮎もあればまずい鮎もあります。なぜこんなに味が違うのでしょうか。それは餌の差だということに気が付きました。鮎は、小さいころは海や琵琶湖でプランクトンを食べて成長します。ところが、ある程度大きくなると川を溯上し、川の中の石に付く苔を食べるというか、はみます。これは氷河期に餌が少なかったときの名残だと言われております。我々が友釣りで釣るのはこの苔をはむ鮎です。食べたときの味の違いは苔の違いであります。釣り仲間でもよくこんな話をします。杉林の鮎ははらわたは苦くない。身も甘くない。それとは逆に天然林の鮎ははらわたは苦くて身が甘い。どちらがおいしいかは言うまでもなく天然林の方であります。苔が全く違うのであります。 ここで広葉樹について少し説明しますと、広葉樹は毎年葉を落とします。そしてその葉は腐葉土となり蓄積され、そこに無数の微生物がすみ着きます。その微生物が雨水をミネラル豊かな水に変えてくれます。このミネラルの違いが鮎の味の違いなのです。私は鮎釣りを通じて広葉樹の大切さを知りました。そのことに気が付いておられる方も多いと思います。以前にテレビのニュースで、宮城県の唐桑町のかきとほたての養殖業者が山に広葉樹を植林しているのを見ました。なぜかきの養殖業者が広葉樹をと思われるでしょう。それはこういうことです。かきの餌が植物性プランクトンであります。植物性プランクトンは良質のミネラルがないと成長できません。良質のミネラルは広葉樹の腐葉土に多く含まれており、それが川を通って海に流れ出すと結果的にかきがよく育つということです。一昨年、長崎県の諫早湾へ干拓工事の視察に行って参りました。巨大な工事で、これは自然破壊以外の何ものでもないと感じました。湾から流れ出るミネラルを完全に止めてしまっております。調査結果がまだ出ていませんのではっきりと申し上げるわけにはいきませんが、恐らく有明海の海苔の不作も諫早湾から流れ出ていたミネラルが止まってしまったことが関係していると思います。 広葉樹の優れている所はまだまだあります。まず保水能力です。今申しましたように、広葉樹には腐葉土が出来ます。その腐葉土が天然のスポンジの役割を果たします。そしてそれが自然のダムを形成します。無駄なダムを建設するくらいなら広葉樹を植えた方がはるかに環境に優しく効果的だと思っているのは私だけではないはずです。また広葉樹は動物や昆虫の生命にとって掛け替えのない存在です。広葉樹の木の実は熊や猪、猿、りすなどの餌になります。またその葉は、虫の幼虫に食べられ、その虫は鳥の餌になります。かぶと虫やくわがた虫などは腐葉土がなければ卵を生み付けることすらできません。最近、山に餌がなくなり、動物たちが人里に現れるようになったのも広葉樹の減少が原因であります。もっと広葉樹を増やしてほしいと思っているのは本当は彼ら動物たちの方かもしれません。また針葉樹の増加が人間にも大きな影響を与えております。それは花粉症であります。杉は檜より早く育ちます。山の地主からすれば、より早くお金にしようと思えば杉を植えたくなるのは当然かもしれません。その結果、山に杉が多くなりました。 ところで森林法はどうなっているのかといいますと、明治30年に施行されて以来、明治40年、昭和14年に一部改正、昭和26年に全面改正がなされました。私から見て最悪だと思ったのは、昭和32年の一部改正です。これは高度経済成長の下で増大する木材需要に対応するため、天然林から人工林への転換を図ろうとする内容であります。したがってこの改正以降、昭和30年代から40年代にかけて杉はどんどん植えられました。そして近年、その杉の苗木は成木になりました。成木になると当然花粉を出します。特に木が弱っているときほど子孫繁栄を願って大量の花粉を出すようになります。 現在、杉の価格が値下がりしています。1立米当たり七、八千円で、2トン車一杯に積んでも2万円少しです。これは昭和35年ごろの価格とほぼ同じ金額です。しかし物価の上昇度を考えれば実質的には10分の1以下であります。手を掛けても損をするだけですから、枝打ちなどの手入れもせずほったらかしの状態であり、ますます木が弱ってきています。正に悪循環であります。現在花粉症になる人は日本の人口の10パーセントに当たる1,200万人と言われております。このまま放置すれば倍の2,400万人まで拡大する予測も出ています。この花粉症問題、そして先ほどの林業の施策について今後どのように対処されるおつもりなのか市長の見解をお伺い致します。 さて、鮎釣りの話に戻りたいと思います。私が18年前に初めて鮎釣りをした川は滋賀県の安曇川です。当時の安曇川は鮎釣り道場と言われたくらい初心者でもよく釣れる川でありました。私も初心者のころに50匹も釣った記憶があります。ところが七、八年前からほとんど釣れなくなりました。なぜかといいますと、鮎がいなくなったからであります。どんな名人でも魚がいなければ釣れません。ではなぜ鮎がいなくなったのかといいますと、川鵜の大群に食べられてしまったからです。これはその安曇川の川鵜の大群が鮎を食べている写真です。これはインターネットからとった写真ですが、大量の鵜が鮎を食べているところです。こんなに数多くの鵜は、以前安曇川にはいませんでした。どこから来たのかといいますと、どうも三重県から鈴鹿の山を越えてきたと言われております。ではなぜ川鵜が三重県からわざわざ安曇川まで来る必要があったのでしょう。それは食料不足が原因です。今まで餌にしてきたふな、うぐい、はえ、たもろこなどの小魚が農薬の影響と農業用水路や小川のコンクリート化によっていなくなったからであります。以前の日本は、田んぼや畑の横に流れる水路や小川は土で出来ていました。それが近年どんどんコンクリート化され、結果として小魚が減少してしまったのです。そして農薬が土で浄化されることなく直接川に入り海や湖に流れ込むようになりました。湖の汚染にも影響を与えております。アメリカやヨーロッパでは、水路や小川のコンクリート化が環境破壊につながるとして、以前から元の土に戻しています。私は、それらの国々に見習ってすぐに土に戻すべきだと思いますが、市長はどうお考えですかお答えください。 次に、鮎の病気についてお話し致します。私は、京都府美山町の美山川に釣りに行きます。美山川は上流の芦生に京大演習林の大きな天然林があり、京都府の中でも最もおいしい鮎が釣れる川です。平成8年のことですが、その美山川の鮎が突然いなくなったことがありました。美山川は由良川の源流ですが、大野ダムがあるため鮎は放流鮎です。なぜ鮎が消えたのか。それは琵琶湖産の鮎が病気でほとんど死んでしまったからです。私も知らなかった冷水病という病気です。冷水病は、病原菌が鮎の体内にすみ着き細胞を破壊していくという病気です。冷水病の名前の由来は、この菌は冷たい水を好み、25度以上になると死んでしまうからです。ここでインターネットで入手した写真をお見せします。これが冷水病にかかった鮎です。えらの部分とこの辺が完全に破壊されております。 この冷水病は元々日本に存在しなかったものです。北米のさけ、ます類にしか見られない病原菌です。それがなぜ日本に入ってきたのか。恐らく北米の外来種であるブラックバスやブラウントラウトなどの放流によるものだと考えられています。近年ブラックバスなどのルアーフィッシングが盛んになり、心ない人たちが自分たちの趣味のためだけに日本の多くの湖や池に外来種を放流しています。このことにより日本の在来種の生存が危うくなってきました。この冷水病に至っては、日本の淡水魚に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。最近では鮎だけでなく、銀ざけ、にじます、やまめ、あまごなどにも感染事例が出ています。今、ワクチンの開発も検討されているようですが、冷水病ワクチン入りの鮎なんて食べる気もしないのは私だけではないと思います。 先ほど言いました大津での世界湖沼会議の分科会におきましても外来種への警告が相次いで報告されております。外来種をこれ以上放流させないよう、より一層の取組が必要だと思いますがいかがでしょう。特に京都市には天然記念物である深泥池があります。その深泥池にブラックバスが生息しているのも事実であります。その辺も含めてお答えください。 次に、鴨川で鮎釣りをしている釣人の姿を見られた方も多いと思います。建都1200年の事業の一環として鴨川で鮎釣り大会が開催されました。私も参加させていただきました。まず驚いたのは、川の中に藻が一面に生えておりまして、おとり鮎を入れたらすぐに藻に引っ掛かってしまい釣りにならないということです。釣れた場所は四条大橋の真下、団栗橋の真下、その下流にある短い瀬だけです。橋の下は日当たりが悪いので藻が成長しません。代わりに苔が付きます。また流れのある瀬は常に流れが速いので藻が成長できません。だから苔が付きます。そのとき私は、鴨川は瀬のない川だなと感じました。本来、川というのは中流域までは瀬があり、瀬尻から淵、そしてとろになり、また瀬になる。これを繰り返しているものであります。現在の鴨川は、とろばかりであります。水量が少なすぎます。しかし雨が降ると雨水が下水管を通って鴨川に放出されるため赤濁りの状態になり、かなり増水します。私から見れば鴨川は川とは言えません。あれは川の顔をした巨大な雨水用の下水管です。なぜ都市部における河川は同じようになってしまったのでしょう。それは都市部のコンクリート、アスファルト化に原因があります。大正時代までは、この京都市の道路はほとんど土でありました。それが今では舗装されていない道路を探す方が逆に難しいくらいです。確かに今日の車社会ではコンクリートやアスファルト化は必要だったかもしれません。しかし雨水をいったん地面から地下に入れ、地下水として川に送らなければ川は現在のように渇水状態に陥ります。雨水の処理を下水に頼らなければならない現状では本来の川に戻ることはないでしょう。 今、下水道局では10年に1度の大雨にも対応できるよう雨水管の整備を進めています。2025年ごろには完備する予定になっています。それはそれで必要なことだと思います。しかし、それが完備した後、30年に1度あるいは50年に1度の大雨に対応できる雨水管の工事を行うとなれば莫大な費用が掛かります。これは無駄です。それよりも、私が言っている雨水を土に染み込ませる方がよほど効果的です。ではどのように染み込ませるかといいますと、現在、御池シンボルロードの歩道は透水性のタイルのような石材を使用しています。水が染み込む石材です。以前に激しい夕立のときたまたまシンボルロードに立っていました。そのとき、水たまり一つ出来ることなく見事に雨水を吸い込んでいました。まず京都市の歩道はすべてこの透水性の石材に変えるべきだと思いますがいかがでしょうか。 次に車道ですが、車の重量の関係で歩道のようにはいきません。したがって車道の両サイドに透水性のある石材を1列だけ敷き詰めればどうでしょうか。そうすれば車道に降った雨水のほとんどが土に染み込みます。技術的に可能であると思いますがいかがでしょう。現在シンボルロードの車道は排水性の舗装をされています。排水性というのは、いったん雨水を染み込ませますが、最終的に下水に入ります。それと排水性の車道は非常に割高なのに比べ、透水性の石材は通常のタイルより少し高いだけと聞いております。経済性を考えてもその方が得策だと考えますが、いかがでしょうかお答えください。 次に、私はよく和歌山の日置川に鮎釣りに行ます。そして定宿の民宿に泊まります。その民宿は海から10キロほどの距離ですので京都と標高は変わらないと思います。しかし真夏でもクーラーは要りません。私は、都市部の方が農村部より気温が高いのではないかとかねてより考えておりました。そして近年、ヒートアイランド現象が注目され始めました。コンクリート、アスファルトは太陽光線の熱を吸収します。そしてなかなか冷めません。そのことが熱帯夜の増加につながっているように思います。暑くて寝られないからクーラーを入れます。するとクーラーは屋外に熱を放出しますので気温はますます上がります。これもまた悪循環であります。地球温暖化を防止するためにも都市部に緑地を増やすことは必要であると考えます。東京都の渋谷区では、本年4月から緑の確保に関する条例を施行し、敷地面積が300平方メートル以上のビルに関し、建築面積の20パーセント以上の屋上緑化を義務付けました。地球温暖化防止京都会議の開催都市である京都市も当然同じような条例が必要だと思いますがいかがでしょう。答弁をお願い致します。 さて、先日、私の地元左京区の大原の友人と鮎釣りの話をしておりました。そのときに少し驚いたことがありました。それは、大原の友人が地元大原の鮎は食べないと言っていたことです。なぜかというと、土、日には大原三千院に全国から観光客が殺到します。観光客は当然トイレを使います。普段は浄化槽処理の所が多いと聞いておりますが、土、日にはそれが処理し切れない状態でかなり汚れた水が川に流れる現状であります。その汚れた水を見ていると、その下流で捕れる鮎は食べる気がしないそうです。地元では、このような状況を一刻も早く解消すべく、昨年7月に下水道を整備してほしい旨の請願が提出され、本年3月議会で採択されました。私は、淀川の源流である大原地域の水の汚れを解消することは、その水を飲んでいる大阪府民にとっても願ってもないことであると思いますがいかがでしょう。できるだけ早く解消していただきたいと思います。答弁をお願い致します。 最後に寄生虫の話をします。鮎の食べ方は色々あります。塩焼きや唐揚げ、天ぷら、一夜干し、鮎めしなど多くの食べ方があります。私が一番好きなのは鮎雑炊ですが、それはさておき、今申し上げました食べ方はすべて加熱して食べるものばかりです。では鮎は生で食べられないのでしょうか。実は鮎の背越しという生の食べ方があります。これは新鮮な鮎で、7月の中旬くらいまでの鮎に限りますが、内臓を取って二、三ミリに骨ごと輪切りにして酢みそで食べるというものです。なぜ7月中旬までかといいますと、それ以降は鮎が成長するため中骨が硬くなってしまうからです。しかし、生で食べるのは若干の勇気が要ります。それは寄生虫がいるからです。鮎に寄生しているのは横川吸虫という寄生虫で、これが成虫の写真です。この成虫は、人間の小腸の粘膜に寄生し、多数が寄生したときは腹痛、下痢などの症状が起こります。少しであればほとんど自覚症状が見られないそうであります。魚の寄生虫の代表格はアニサキスです。これは有名ですが、さばとかあじ、いわし、さけ、ますなどに生息する寄生虫で、これらの魚を生で食べるときには注意が必要です。アニサキスの幼虫が胃や小腸の粘膜に付着し、壁の中に潜り込みます。そのときに激痛が走るわけです。これが胃の中でアニサキスが刺している所であります。ですから生魚を食べるときには、よく注意をしていただく必要があります。アニサキスは1センチから2センチほどありますので肉眼で見付けられます。発見しやすいと思います。ところが注意してもなかなか見付からない寄生虫がいます。それは回虫です。最近、公園や幼稚園などにある砂場から回虫の卵が発見されています。兵庫県の調査では、90パーセントの砂場で回虫卵が見付かっています。この原因は犬や猫のふんにあります。砂場にあるふんのうち、そのほとんどが猫のふんであります。猫はふんをした後、砂を掛ける習性があります。だから見ただけでは分かりません。これも都市部のコンクリート、アスファルト化によって猫のトイレの場所が減少し、結果として砂場に猫が集中するというわけです。回虫卵が体内に入ると肺炎、視覚障害、腹痛などの要因になります。幼い子供たちの遊び場である砂場がこのような状態で放置されているのはいかがなものでしょう。もちろんしっかりと手を洗えば問題はないと思います。しかし幼児ですと、親が横を向いている間に砂の付いた指をなめてしまうこともあり得ると思います。京都市では、今年の夏、すべての市立幼稚園の砂場の清掃を実施致しました。人体に害のない果物から抽出した殺菌剤を使用し回虫卵を除去したと聞いております。さすが京都市の教育委員会はやることが早いと感心致しました。ところが京都市内に600箇所以上もある公園の砂場の方はどうかといいますと、住民の要望があれば掃除はするが回虫卵の殺菌は行っていないと聞いております。できれば公園の方も回虫卵の除去を実施していただきたいと思います。また保育園や私立幼稚園に対する指導もお願いしたいと思いますがいかがでしょう。答弁をお願い致します。幼児が安心して遊べる砂場になることを期待致します。 今回の質問は鮎という魚を通じ自然の大切さについて質問して参りました。人類は食物連鎖の頂点に立っております。自然を無視して人間の手を加えること、すなわち自然を破壊することは未来の人類を破壊することにほかならないことを申し上げ、また警鐘を鳴らしまして私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(梅林等) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 中村十一議員の御質問にお答え致します。 まず本市水道水の安全性確保についてお答え申し上げます。琵琶湖は京都市を含む流域1,200万人の命の水を供給する掛け替えのない水源でございます。この琵琶湖の水質につきましては、国における水質汚濁防止法、湖沼法、環境基本法などの法令の整備、滋賀県における積極的な浄化対策等により水道水源としては様々な問題を抱えつつも、幸い現在のところ良好な状態が確保されております。しかしながら、近年琵琶湖流域におきましては、山林、耕地の減少、都市化の更なる進行等により将来にわたる良好な水質の保全が懸念されて参っております。このため滋賀県及び下流3府県の要請に基づきまして、国において今後の事業展開に関し琵琶湖の総合的な保全のための調査が行われ、これを受けまして、滋賀県におきまして2020年には昭和40年代前半の水質への回復を目標とするマザーレイク21計画がスタート致しております。京都市と致しましても、関係流域自治体等で構成しております琵琶湖淀川水質保全機構における活動を通じまして水質保全の取組を更に強めて参りたいと考えております。また淀川水系全体の水質保全のために、本市下水処理の高度化や合流式下水道の改善等を積極的に進めることにより本市としての役割を果たして参りたいと考えております。 次に、林業政策と花粉症問題についてでございます。今、正に錦秋の秋を迎えておりますが、この美しい山々は先人たちにより営々と守り育ててこられました掛け替えのない市民の財産でございます。1200年の歴史を有する京都の林業は、木造建築や伝統文化を脈々と築き上げ、市民生活の礎として大きな役割を果たして参りました。現在、本市の森林のうち37パーセントが人工林で、その過半を杉が占めておりますが、昭和30年代に行われました人工造林は戦中戦後の乱伐により荒廃した森林の復旧と経済の復興に伴う旺盛な木材需要にこたえるためのものであり、治山治水にも大きく貢献してきたところでございます。本市では、間伐や枝打ちをはじめとした森林整備を計画的に進め、健全な森林の育成に努めており、このことは杉花粉の抑制にもかなりの程度役立ってきていると考えております。しかしながら、中村議員御指摘のとおり森林、林業を取り巻く情勢は非常に厳しく、手入れの行き届かない森林、人工林等が多々存在するのもまた事実でございます。今後とも本年4月に策定致しました京都市農林行政基本方針に基づき人工林の整備や広葉樹を生かした多様な森づくりを進め、地域特性に応じた林業振興対策や木材産業対策を展開し、森林、林業、山村のより一層の活性化を図って参りたいと考えております。 次に、河川環境の改善についてのお尋ねでございますが、私は、21世紀は環境の世紀と言われておりますように、都市の河川改修に当たりましても従来の治水、利水という観点に加え、環境保護や環境教育の観点から河川の持つ多様な自然環境を生かした河川環境の整備と保全が誠に重要であると考えております。本市におきましては、議員御指摘のように生物の生息する環境や自然景観の保全、創出に配慮した自然の川づくりを積極的に推進しており、具体的には右京区の有栖川において地元住民の皆様と有栖川を考える会を立ち上げ、河川環境にも配慮した改修計画の策定に取り組んでいるところでございます。また水辺再生を検討しております堀川におきましても、ワークショップで市民の皆様から頂いた生き物に優しい川づくりの意見を反映させながら河川整備を進めていくことと致しております。これら自然の川づくりや水辺環境の整備は、自然環境を良くしていく夢のあるすばらしい事業であり、まさに市民の皆様と共に進めて参りたい事業でございます。厳しい財政状況の下ではありますが、今後とも皆様の御意見、お知恵を頂きながら創意工夫を凝らした取組を積極的に推進して参りたいと考えております。 以下、副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○副議長(梅林等) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一) 2点についてお答え致します。まず外来魚の問題でございますが、外来魚による自然生態系への影響につきましては、私どもも大いに危惧しているところでございます。外来魚でありますブラックバスやブルーギルは、漁業法及び水産資源保護法等に基づく京都府内水面漁業調整規則によりましてほとんどの河川や池で放流が禁止されております。しかしながら、市内の一部河川や池でその生息が確認されております。深泥池におきましてもブラックバスが生息していることが確認されましたので、平成9年度から文化庁や専門家の指導を得ながら除去作業を実施しているところでございます。今後とも関係機関及び各漁業協同組合と連携致しまして河川や池において放流が行われないよう啓発の強化に努めて参ります。 次に、大原地域におきます下水道の整備についてでございます。京都市の下水道整備状況につきましては、平成6年度に市街化区域のほぼ全域において整備が完了致しますとともに、市街化区域に連たんする調整区域につきましても整備に着手し、平成12年度末で下水道普及率は99.1パーセントに達しているところでございます。御指摘の大原地域をはじめとする周辺地域におきましても住民の方々の健康で快適な生活の確保や下流の公共用水域の水質保全のために下水道の整備は重要な課題であると認識致しております。しかしながら、周辺地域の下水道の整備につきましては、財源問題や住民負担の在り方など検討すべき課題が数多くありますことから、昨年7月に関係局による庁内検討組織を設置したところでございます。今後におきましては、現在市内周辺地域で取り組んでおります地域上水道の整備状況を勘案しつつ、本年3月の請願採択の趣旨を踏まえまして、地域の実態調査や事業手法などの課題整理を行いながら整備に向けて研究検討を行って参る所存でございます。以上でございます。 ○副議長(梅林等) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕 ◎副市長(河内隆) 道路における透水性の確保についてのお尋ねにお答え致します。道路の透水性につきましては、雨水の流出抑制による都市型水害の予防、歩行者や通行車両の滑り止め防止、更には騒音対策、熱環境対策におきまして大変重要な役割を果たすものと考えております。このため本市では、平成10年度以降、御池シンボルロード等の歩道整備におきまして透水性ブロック舗装を実施してきたところであり、今後もその拡大を図っていく考えであります。しかし、車道の透水性舗装につきましては、全国的にもその耐久性や安全性等に関していまだ実験段階にあるため排水性舗装を使用しているのが現状でございます。議員御提案の方法につきましては、耐久性や雨水のはけ具合などに未知数な所もあり、なお研究していくべき課題がございますが、本市と致しましても車道の透水性舗装につきまして早期に試験的な実施に取り組んで参りたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(梅林等) 野嶋建設局長。 〔野嶋建設局長登壇〕 ◎建設局長(野嶋久暉) 2点についてお答え致します。まず都心部におきます緑の確保についてお答え致します。都心部における緑化の推進は、安らぎと潤いのある緑の都市空間の形成、良好な都市環境の形成、また防災上の観点などから不可欠なものであると考えております。本市では、平成11年2月に京都市緑の基本計画を定めまして、2025年には空から見た緑の割合であります緑被率を33パーセントに、1人当たりの公園面積10平方メートルを目標とし、市民、事業者の皆様と共に様々な緑化施策を進めることと致しております。これまで区民の誇りの木の選定事業や生け垣緑化助成事業を進めて参りました。御指摘の屋上緑化につきましては、民地等の緑化推進施策の一つとして有効な取組であると考えておりまして、現在山紫水明のまちと言われております京都の特性を踏まえまして制度の調査を進めているところでございます。今後、緑化推進の取組につきましては、市民、事業者とのパートナーシップの下、年内に京都市都市緑化推進協議会を新規に立ち上げまして、委員や市民の皆様の御意見を頂きながら行政内部でも検討を進め、魅力あふれる美しいまち京都の実現を目指して参ります。 次に、公園等の砂場の殺菌についてお答え致します。公園等の砂場は、砂遊びによりまして子供たちの創造性をはぐくむ大事な場でありますが、犬、猫のふん等によりまして砂場が汚れていることが衛生面から問題となっております。本市におきましては、その対策として、公園につきましてはふん等の除去、砂の入れ替え等を行うとともに、公園愛護協力会等地元の皆様の協力が得られる公園につきましては、シートやネットによる対応を行っております。保育所につきましてはシートをかぶせるなどの措置を講じるとともに、子供たちの手洗いの励行を指導しております。また私立幼稚園に対する情報の提供にも努めておるところでございます。公園の砂場の殺菌につきましては、管理人を置く公園で試験的に実施しているところでございますが、管理者がいない常にオープンな一般の公園で実施することにつきましては、効果の持続性等の課題があるのが現状でございます。今後、議員御指摘の趣旨を踏まえまして、犬、猫の飼主のモラルの向上を図るとともに巡回パトロールの強化や地元等の協力を得ながらシート等による防護対策の拡充を進め、子供たちが安心して遊べるよう努めて参ります。以上でございます。--------------------- ○副議長(梅林等) 暫時休憩致します。 〔午前11時57分休憩〕 〔午後1時2分再開〕 ○副議長(梅林等) 休憩前に引き続き、会議を行います。--------------------- ○副議長(梅林等) 休憩前の一般質問を継続致します。 次に、市政一般について、鈴木マサホ議員の発言を認めます。鈴木議員。 〔鈴木マサホ議員登壇(拍手)〕 ◆(鈴木マサホ議員) 民主・都みらい議員団の鈴木マサホです。私が京都市会に送ってもらったのは昭和の時代、1987年、昭和62年、古都税紛争と同和行政で疲弊した今川市政末期でありました。ひげを生やし、頭髪も黒々としていた38歳のときでありました。この15年間、市民派として初心を忘れることなく、自治体の理想と京都のあるべき都市の姿を求めて駆け抜けてきました。1989年、昭和の時代から平成の時代になって、今川市長から田邊市長へとバトンが引き継がれ、田邊市長は医者出身ということで健康都市構想を掲げて、新基本計画、平成の京づくり-文化首都の中核をめざしてを策定、建都1200年記念事業もありました。私にとって地下鉄工事費の暴騰問題での臨時市会や同和行政の在り方を巡って一般質問に立ったのが記憶に残っております。田邊市長は、残念ながら体調を崩され2期目の途中で辞職されました。96年、平成8年2月、桝本市長が誕生しました。COP3が開催され、京都は環境先進都市を目指し、地下鉄東西線の開通もありました。バブル経済崩壊後の失われた10年の時代、桝本市長は、元気というキーワードをもって、もっと元気に・京都アクションプランを柱に1期目を立派に務め上げ、圧倒的な信任を得て再選されました。地方分権、高齢化と少子化が進み、介護保険制度も導入されました。不景気風が一向に収まる気配もない20世紀から21世紀の変わり目に安らぎと華やぎの基本構想と基本計画、そしてその推進のために安らぎ華やぎ京都21推進プランも策定され、21世紀の京都のまちづくりを進める第一歩を踏み出そうとしているときであります。この6年間、まだまだ課題はあるにせよ、着実に京都市は市民の目線に立った行政になり、市民に開かれた、また市民とのパートナーシップの下、市民参加を目指したよりよい自治体に変わってきたと評価しています。市会においても各会派の同僚議員の皆さんの意識改革や努力もあり、情報公開条例の制定をはじめ予算決算特別委員会のモニターテレビでの傍聴や市会だよりの発行、ホームページの開設、点字請願の受付や盲導犬、介助犬同伴での本会議の傍聴、政務調査費の透明化や、またすべての議案を委員会付託しての審議など地方分権にふさわしい市会活性化への取組を進めてきました。15年前の市民に閉ざされた市会から大きく改革されました。 市長は、1963年、昭和38年京都市に採用され、高山、井上、富井、舩橋、今川、田邊市政の下で30数年を教育委員会で仕事され、正に京都市と共に人生を過ごされてきました。市長はこの40年、京都市の在り方がどう改革されてきたと思われているのでしょうか。この京都市の歩み、市政やまちや市民生活の変化をどう考えておられるのか。また、今後は基本計画の達成に努めるのが市長の責務ですが、どういう京都にしたいのか。理想とされている京都像を市長自らの思いを自らの言葉で語っていただきたい。御答弁ください。 さて、その理想も財政が健全であってこそできるわけですが、非常事態宣言が出されました。前途多難であります。この市会は12年度の決算市会ですが、非常事態をどうするのか、いわば予算市会でもあると私は考えています。財政問題を論じる前に12年度決算について簡単に触れておきます。単年度の実質収支は6億6,000万円の黒字決算ですが、自治体会計そのものが市民感覚に合わないもので実態を表していないと私は考えています。黒字なのになぜ非常事態宣言なのかと市民は思うでしょう。予算を立てて1年間の歳入と歳出だけの金額の出し入れ、歳入歳出決算書による単式簿記を用いていますから、市債を発行しても、つまり借金をしても歳入の項目に上がるので現在の自治体会計の方法ではこのような黒字決算になります。企業会計的な視点を導入したバランスシートづくりが始まっていますが、実態に即した決算報告が市民にできるように改善を求めておきたいと思います。市民感覚でいうと財布の中に500円玉1個が辛うじて残ったというのが12年度決算ではないでしょうか。 監査委員から、翌年度への繰越額について的確な事業見通しの把握による予算計上に努めるとともに、事業の早期着手、早期完了を目指し、より一層の計画的な事業の執行に努められたいとあり、不用額については経費の節減に努められ不用となったものもあるが、極めて苦しい財政状況の中で重点的に予算措置したにもかかわらず未執行となったものがあることは遺憾であると指摘されています。この意見を市長はじめ各局真摯に受け止められたいと思います。なお12年度決算における一般財源に対する税収入の割合を示し財政力の強弱を計る財政指数は、1に近い方がいいのですが12年度は0.673になっています。最高のときは平成5年の0.769でした。また地方債の元利償還金の負担の程度を表す公債費比率は17.7パーセント、また起債制限比率は13.0パーセントです。この数字はこの数年顕著に、特に高くなったということではありませんが、起債制限比率は20パーセントを超えると一部の地方債が、また30パーセントを超えると地方債の発行の制限を受けることになります。 さて今年度、13年度予算は市庁舎整備基金から113億円を借り入れすることで予算が組まれました。苦肉の策であります。そして来年度の予算の編成作業が進んでいるとき非常事態宣言が出されました。市長は10月の記者会見で、要約すると不景気で約93億円もの大幅な減収が見込まれ、地方交付税も圧縮されるので580億円の巨額の財源不足を見込まざるを得ない。このためマイナスシーリングを実施するなど最大限の経費削減に取り組むが、それでもなお300億円に及ぶ財源不足が見込まれる。極めて深刻な事態だ。このまま何ら対策を講じなければ財政再建団体に転落しかねないと発表し、緊急対策として人件費の削減など4点を挙げられました。本当に大変な時代を迎えました。この国会では補正予算も通過しましたが、有効な景気対策も打たれず、構造改革も進まず、雇用の確保も難しく、近畿の失業率は6.6パーセント、1,000人に66人が失業中であり過去最悪の様相を示しています。政府は来年度の経済成長率を0.9パーセントマイナスと予測しています。 ところで平成12年版の京都市財政のあらまし、これですけれども、この財政のあらましを読むと、市民の家計に例えて、いかに京都市が火の車なのかがうまく説明されています。私なりにアレンジして非常事態宣言を説明してみましょう。この際、大ざっぱな話として聞いていただきたいと思います。仮にサラリーマンの京一さんという名前にしておきましょう。京一さんの家庭の主な収入は給料ですが、これを市税収入とすれば、実は家計全体の収入の4割弱しかありません。この市税収入も来年は減る。つまり京一さんは会社から賃金カットを通告されました。また3割自治と言われているように、今までも家の建て替えや大きな電化製品を買うときも国からの交付税頼みですし、教育費や保育料は国や府からの支出金に当たりますが、国元、実家から援助を受けなければ生活できなかったというのが実態でした。今までは実家の両親も元気で、少しの蓄えがあって融通してもらっていたのですが、おじいちゃんが倒れてしまって来年からは期待できなくなったというところでしょうか。貯金である財政調整基金も163億円あったときもあるのですが、それも底を突き、たんすのへそくりもなくなった。1部屋を学生に貸していますが、この家賃を値上げすることもできない。いわゆる公共料金、使用料や手数料の収入です。奥さんもパートに出て頑張っていましたがリストラに遭った。銀行からの借金の総額は既に年間の収入以上ですが、またローンを組まなければならない。生命保険も解約した。そんな収入の状況でしょうか。一方支出ですが、コンビニで380円の弁当を買い、ビールをあきらめて発泡酒を飲む。洋服はユニクロで買うなど経費を抑えても、子供たちの教育費も必要だし今年は水道料金も上がった。税金も払い、介護保険料も国民健康保険料も必要だ。自治体会計でいう公債費、借金の返済として住宅ローンの返済には孫の代まで掛かる。病気にでもなれば大変なことです。せめてカラオケで憂さを晴らしたいが付き合いでの交際費も減らし、車や電気製品の買換えもこの2年間はできない。家の建て替えなんてとんでもない。高校生の子供にアルバイトをさせなければならない。300億円をどう捻出するのか。車も、ひょっとすると家も売るしかないのかというのが非常事態宣言でしょう。我が家の理財局長のカミさんは家計簿を付けながら、お父さん、どうするのとよく言いますが、サラ金から借りずにいかに火の車をやりくりするのか。京一さんの家庭でもそうであるように自治体も大変な時代を迎えました。 ところで自治体会計において年間の一般会計予算が300億円といえばどのくらいの都市の規模か。実はお隣の亀岡市は人口9万6,000人、3万2,000世帯ですが313億円です。妙な例えですが、これだけの市民の人たちが自治体のサービスを受けられなくなるといえば大げさでしょうか。自治体経営という言葉が最近よく言われますが、企業のようにもうけるという意味ではなく、財政的にいかに効率よく自治体を運営するかという意味でのマネジメントをするのは市長であります。市長は、京都市の脆弱な財政を改善するために、この間行財政改革にも取り組まれてきました。多少はIT関連の企業の好況を期待されていたのかもしれませんが、それが期待できなくなった今、京都市財政は元々危険水域に近付いていたわけですから非常事態宣言をせざるを得ない状況になることは以前から十分予測できたのではないかと私は考えています。市長の考えをお聞かせください。 記者会見では、財政再建団体に転落しかねないと発表されています。京都市は昭和31年から37年まで財政再建団体だったそうですが、財政再建団体になれば一体どうなるのか、副市長からお答えください。自治体にとってこんな不名誉なことはないのです。 さて、緊急対策として4項目を挙げておられます。次にこの点について検討を加えておきます。1点目は人件費の削減。市長は、市役所自らが身を削って努力することが第一であると考え、勧奨退職による定数削減、給与カット等の措置により人件費の削減を図る。本年3月から特別職と局長級職員については給与カットを行っているが、この措置を延長すると言われています。私たち議員もこの4月から歳費の5パーセントカットを実施しているところです。先日、自治労市職の大会がありました。市長が悪い、経営陣が悪いと批判ばかりしている組合ではなく真摯な議論がなされていました。家族の生活が維持、防衛できる給与水準を確保するため運動を推進していくと大会宣言をしていますが、2万人近い京都市の職員にどのように財政状況を説明され人件費の削減に取り組まれるのか。また公務員の賃金は人事院勧告の制度で査定されますが、この勧告との整合性はどうなるのか。職員がやる気を失ったら一大事であります。職員が安心して働き続けられる対策を講じるのも市長の任務です。丁寧な説明で理解を求めるべきです。 2点目は公営企業への任意の繰出金の休止です。現在、交通事業には敬老乗車証など福祉対策乗車補助金として一般会計の社会福祉費から繰出しもあり、経営健全化補助金も出されています。また上下水道事業には、昨年秋の市会でも大きな論議になりましたが汚水資本費補助金や染色業減免に対する負担金も出されています。市立病院にしても補助金が出されています。一般会計から繰出しが行われなくなると各公営企業にも大きな影響が及び、ひいては公共料金の値上げなど市民生活にも多大な影響を与えますが、どのような具体策を検討するのでしょうか、実行するのでしょうか。大きな論議を呼ぶことでありましょう。 3点目は各種イベントの見直し。本市が主催し又は補助しているイベントは休廃止を検討し、継続実施する場合でも原則として開催回数を半減するか経費を半減したいと言われています。京都まつり、映画祭、消費者まつり、京都ハーフマラソンなど京都の行事として定着し、また全国から人が集まり京都発信の宣伝効果や経済効果もありますが、見直しをした方がいいのもあるでしょう。各種のイベントはどのくらいあるのか、どういう基準で見直すのか、これらを詳細に検討し、市民に説明し理解を求めなければなりません。 4点目は新規の施設建設の一時凍結。新たに着手を予定している施設建設については原則として実施を見合わせ、計画的に拡充してきた事業や新規の調査事業なども一時的に凍結することも検討すると言われています。生活道路の改善や大きな公共事業として都市の基盤整備に不可欠なものもあり、例えば地下鉄六地蔵駅までの延伸や新十条トンネル工事を途中でストップするわけにはいかない。地下鉄西伸も国の予算がどうなるのか分かりませんが着実に進めるべきだと考えます。これらの事業はどうなるのか。また市民生活に必要で建設を急がれる福祉や教育や防災施設などあるようにも思いますが、新規の施設とは具体的にどのような施設建設があり、一時的に凍結する事業とは何なのか、市民に説明することが大事です。これら4点については、これから関係機関や関係者と色々と協議し詰めていかれるものと思いますが、来年度の予算編成に当たり、今の時点でのもう少し詳しい考え方を示していただきたい。御答弁ください。 そして市長は、この緊急対策は平成15年度までの最低2箇年間の措置として実施したい。また、今は歯を食いしばって我慢し、市民の生活を守り将来の京都のために真に必要な事業を一層の選択と集中の下に進めていかなければならない時期だと言われています。現在、確かに将来の経済情勢について政府や経済学者、アナリストも誰も予測できません。市長は特別に経済に詳しい専門家ではありませんが、財政の規模を縮小した中で市民のセーフティネットを作り、市民の福祉を守るためにも景気の回復が全く見込めない状況でどういう財政運営をされるのか。歯を食いしばって我慢するということ、また選択と集中とは具体的にどういうことか。市民生活への影響が懸念されます。市民の声をどう聴くのか、いかに説明するのか、これらについてお答えください。 さて、この難局を乗り越えるには、すべての職員が意識改革する中で前向きに取り組むことが必要です。財布を預かっている理財局だけで仕切れるものではありません。総合的な政策的な判断や選択が求められます。交通、水道局を含めてすべての局が関係するわけですから対策本部を設置される必要があると思いますがいかがお考えですか。この際、非常事態宣言をどう受け止められているのか、すべての局長に考えをお聞かせいただきたいところですが、今日は時間もありませんので各局長には決算委員会で聞くことに致します。対策本部の設置と、どういう手法で具体策を検討、協議、実行されるのか市長の答弁を求めます。なお、つい先ほど国家予算に関する重点要望の冊子を見ましたが、地方交付税の総額の確保について迫力を持って政府に当たっていただきたい。 ところで、京都市だけではなく日本経済は沈没寸前です。銀行が破綻する時代になり、金融の再編が進み、不良債権の処理問題が大きな社会的な課題になっています。来年4月からペイオフが解禁されることになっています。普通預金や当座預金の流動性預金は2003年からですが、このペイオフとは銀行が破綻した場合、預金の払戻限度額を元本1,000万円とその利子分までとする制度で、金融機関と預金者に緊張関係を持たせて金融機関の経営の健全化を図るのが目的とされています。我が家にとってこのペイオフ解禁は何の影響もありませんが、企業や多額の預金のある市民にとっては大問題であります。いや実は地方自治体にとって大問題であります。地方自治体の公金預金についても保険金で保護される範囲は元本1,000万円とその利息となり、預金先の金融機関が破綻した場合、元本1,000万円を超える場合については破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われることとなります。公金、市民の税金といえどもペイオフの対象になる。つまり公金を預けている銀行が破綻したら京都市も連鎖倒産です。非常事態宣言どころではありません。東京都では公金を預けている銀行などの経営状態を監視する第三者機関、公金管理委員会を設置しペイオフ対策に乗り出し、経営状態に懸念が出た場合預金を引き揚げる措置を採るとも言われています。京都市の指定金融機関は三和銀行です。まさか三和銀行が破綻するとは思いませんが、各種基金の運用や中小企業対策の制度融資預託金など地元の金融機関を含めて多くの銀行と関係しています。そこでお尋ねします。金融機関の経営状況の把握をどうされるのか、また公金預金の保護対策をどうされるのか。銀行から京都市が資金を引き揚げた場合、地域経済にも大きな影響が及びますがどう考えておられるのか。ペイオフ解禁対策についてお答えください。 私は、京都市を健全な自治体にするために、先の財政問題だけでなく自治体改革とリンクさせる必要性を訴え、この間、行政の透明性、アカウンタビリティ、説明責任の大切さ、公共事業の再評価システムや費用便益分析の活用など、行政評価システムの導入など行財政の構造的改革の推進を求めてきました。市長は、緊急対策と並行して市政改革大綱に基づく行財政の構造的な改革も引き続き強力に推進すると述べられています。市民と行政の役割分担の見直しや新しい行財政運営システムの導入を推進するという京都新世紀市政改革大綱に従って取組が進められてきました。この6月の時点では、具体的には職員数は1,000人の削減目標に対して既に349人を削減、また142項目の事務事業の見直し等についても119項目に着手しており、そのうち50項目は既に目標を達成していると発表されていますが、進捗状況はどうなのか、現在の到達点をどう評価するのか、また今後の見通しはどうなのかお答えください。 さて、IT、情報通信技術の発展は、市民生活だけではなく行財政の構造的改革を進める道具として京都市においても大きな変化をもたらし、ダイナミックに自治体の在り方を変えることになるでしょう。京都市がコンピューターを導入し住民基本台帳の電算化を始めたのは1988年でした。組合でも反合理化の視点や個人情報保護の観点から議論になっていたのを記憶しています。92年、京都市地域情報化基本計画策定委員会から答申が出され、開かれたネットワークを目指した情報網洛中洛外が96年に観光文化情報などの運用を開始し、インターネットを利用した情報提供は97年からです。99年に開設された京都市の公式ホームページである京都市情報館は、先ほど見てみますと123万3,279のカウントを数えています。余談ですが、市長の動きというコーナーがあります。情報公開の面からしても、もっと日々の市長の行動を市民に知らせた方がいいのではないか、市長の多忙さが伝わってきていません。要望しておきます。この4月には我が民主・都みらい議員団も、また京都市会のホームページも開設されました。市会のホームページは先ほどのカウントで9,685でありますが、この10年間の本会議の議事録が検索できるようになっており、また市会の様々な情報がありますので、市民の皆さん是非開いてみてください。 インターネットという言葉を入れて検索してみますと、初めてヒットするのは95年5月市会での同僚の中村十一議員の質問です。その年に情報管理室から情報化推進室と名称が変更になっています。95年ごろからのこの間の情報通信技術の飛躍的発展を誰が予想できたでしょうか。私自身も99年に友人にホームページを立ち上げてもらい、この4月には若いスタッフに助けてもらってmasaho.comのURL でリニューアルし、日々の活動をひとくち日誌として更新して好評を博しているところですが、市長、一度是非見ていただきたい。また今回インターネットを活用して質問を作ったところですが、これほど優れたものはありません。携帯電話やインターネットの普及は人の出会いさえも変えてしまい、社会の在り方も、また自治体の在り方も変えるでしょう。情報格差、デジタルディバイドや情報セキュリティ対策など新たな課題を生み出しているのも事実ですが、世界の情報が瞬時に届き世界に発信できるのです。またコムペイジのような左京区の地域情報のホームページもあり、様々な生活情報も載せていて市民の利便性を高めています。防災指令システムは市民の安全を守り防災対策に大きく貢献していますし、市バスのポケロケも若い世代は大いに利用しているようです。 今年1月から高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進することを目的としたいわゆるIT基本法が施行されました。私たち市会もIT研修会をして取り残されないように勉強をする必要があるでしょう。京都市は、新高度情報化推進のための京都市行動計画~e-京都21~をこの5月に策定しました。計画では電子市役所の実現や誰もがITの成果を享受できる社会の構築等、四つの目標と42の具体的取組を掲げています。今後は、この計画に従って様々な事業が展開されますが、電子市役所の実現に向けてその手法と見通しについてお答えください。またIT講習会への市民の参加はどうなのか。多くの市民が申し込まれたとのことですが、今後の予定はどうか。人材育成や情報格差の解消に向けての取組も必要でしょう。ところで京都市情報館はすべての事業や施策について網羅されているわけではありません。過去の様々な行政資料のファイル化や今日的なデータをできるだけ早く市民に公開していくことが必要です。更なる内容の充実が求められます。新高度情報化推進のための京都市行動計画~e-京都21~を進める決意をお聞かせください。 アメリカでの同時多発テロとアフガニスタンへの空爆、都市にとって、市民にとって、人間にとって平和がいかに大切かを今一度かみしめるこの2箇月でありました。全世界の人々が人種、宗教、社会体制の相違を超えて平和のうちにここに自由に集い、自由な文化交流を行う都市の理想を掲げた世界文化自由都市宣言をした京都市、この宣言の理念と理想を世界に広めることが私たちの責務ではないかと物思いにふける秋であります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(梅林等) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 鈴木マサホ議員の御質問にお答え致します。 初めに、この40年間の京都市政や京都のまち、市民生活の変化についてでございます。私が京都市の職員となった当時は、戦後の復興期から高度経済成長期にかけて4期16年にわたり高山市長が市政を担当しておられました。高山市長は、財政再建団体への転落という苦難を乗り越えて、京都会館の建設をはじめとした文化行政や姉妹都市との交流などに力を注がれ、これにより今日の国際文化観光都市としての京都発展の基礎が築かれました。昭和40年代の半ばから市政を担当されました舩橋市長の時代は、特に福祉の風土づくりや地下鉄建設などが進められ、より安心かつ便利な市民生活がもたらされたと言えます。その後を継がれた今川市長の時代には、都市基盤や各種公共施設の整備により都市機能の一層の充実が図られました。時が平成に変わり就任された田邊市長は、健康都市構想や三山の保全をはじめとする京都の景観保全、情報公開などを進められました。特に情報公開制度は、開かれた市政の進展のために大きな意義があったと考えております。このように、私は戦後の我が国の発展と平仄を合わせるようにして京都市政が着実に発展してきたものと考えておりますが、一方では同和行政をはじめとする市役所内の改革が急務となっていたことも残念ながら事実でございます。こうした状況の中で、平成8年に私が市民の皆さんからの御信託を受けて市長に就任致しました。私は、市民とのパートナーシップを市政の基本に据え、これを確かなものとして構築しながら、20世紀の総仕上げと21世紀の新しい都市づくりに取り組んで参ったところでございます。とりわけ市政の改革という点では同和行政の改革に力を注ぐとともに、市役所の元気策として庁内改革を強力に進めたことにより市民の目線に立った元気いっぱいの活力ある市政運営が実現されつつあると考えております。この40年の間には道路網、地下鉄、下水道などの都市基盤の整備が飛躍的に進み、また図書館や文化会館の計画的な整備あるいは福祉や教育施策の充実などにより市民生活も大きく向上致しました。そして市役所の改革も着実に前進してきたところであります。私は、これらにより21世紀の京都のまちづくりの基礎が出来て参ったものと考えております。 次に、今後どういう京都のまちづくりをしていくのかという点でございます。京都は1,200有余年もの間、独自の文化をはぐくみながら創造と再生を続けてきた世界的にもたぐいまれな大都市であり、また我が国の精神文化の拠点都市でもあります。しかし今日その都市としてのアイデンティティに揺らぎが生ずるなど様々な課題を抱え、今後も京都が活力ある大都市であり続けられるかどうかの岐路に立っているのもまた事実でございます。こうした中で更に直面したのが今回の財政非常事態を宣言せざるを得ない事態でございます。しかし、私は全身全霊を傾けてこの試練を克服し、悠久の歴史の中で培われてきた文化、学術やものづくりの技などの厚い蓄積を礎として世界中の人々を魅了する、また市民の皆さんがいつまでも住み続けたいと実感できる光り輝く京都の実現を目指して邁進していく決意でございます。悲観主義は何ものをも生みません。この困難な時期にこそプラス思考で立ち向かう楽観主義を基調に夢と希望を持って明るく元気いっぱいに仕事をし、安心感のある希望に満ちた京都を市会の先生方の御理解と御協力を賜り、しっかりと実現して参りたいと考えております。 次に、この度の財政非常事態宣言についてでございます。私は、財政基盤が脆弱な本市においては、長期的な視点に立って市政を運営することがとりわけ重要であると考えております。このため財政基盤をより強固なものとし、市民の皆様にお約束致しました施策、事業を着実に実現していくためにも、また昨年の財政収支見通しによる当面の財源不足を解消するためにも市政改革に不断に取り組むなど、今日まで計画的な財政運営に努めてきたところでございます。平成13年度予算編成におきましても、多額の財源不足を解消するため、かつてない思い切ったマイナスシーリングを実施し経費節減に取り組んで参りました。結果的には市庁舎整備基金から借り入れざるを得ないこととなりましたが、IT関連企業の業績が好調で当初予算での市税収入も3年ぶりに増収に転じましたため、景気は徐々に回復し市税の増収傾向も続くものと大いに期待していたところでございます。しかしながら、昨今の世界的なIT不況と急激な景気の減速に加え、アメリカにおける同時多発テロ事件の影響もあって我が国経済も未曾有の不況に陥り、平成14年度は市税収入が93億円もの大幅な減少となるなど本市財政は一転して市政改革の成果をはるかに上回る勢いで悪化する見通しとなったものでございます。このような予想外の財政悪化に対処し、市民生活を守り切ると同時に、この厳しい局面を何としてでも乗り切っていくため非常事態を宣言し緊急対策を講じることとしたところでございます。 このような状況下における財政運営についてのお尋ねでございます。私は、本市財政が極めて厳しい状況にあるからこそ市民の皆様の行政に対する基本的、根本的な御期待にこたえ、適正な行政サービス水準を維持することによって市民生活を守り、将来の京都のために真に必要な事業を推進していかなければならないと考えております。このため、右肩上がりの時代が終焉を迎えた今日、あれもこれも何でもではなく、あれかこれかという厳しい選択と集中を一層徹底し予算編成に臨む考えであります。私は、市役所自らが身を削って努力することはもとより、市民の皆様にも御理解をいただきながら新しい施設の建設を我慢するなど歯を食いしばって何としてでもこの難局を乗り切って参る決意でございます。また、市民の皆様との信頼とパートナーシップは市政運営の基本でございます。この度の緊急対策の取組や今後の財政運営には市民の皆様の御理解と御協力を得ることが一層重要となって参ります。私は、これからもあらゆる機会を通じ、分かりやすくその状況を市民の皆様にお伝えするよう全力を尽くして参ります。 次に、緊急対策の具体化の手法についてでございます。本市財政は、近い将来財政再建団体に転落しかねない危機に直面致しております。鈴木議員御提言のように、この難局を乗り越えるには公営企業も含めた全部局の全職員が危機意識を共有して職員一人一人がその力を結集し、市役所全体が対策本部という意気込みで取り組まなければできないものと考えております。とりわけ公営企業管理者をはじめ市政のトップリーダーである局長、区長が一層のリーダーシップを発揮することにより、すべての職員が一丸となって取り組むことが何よりも重要であり、この考え方の下に緊急対策の具体化を図って参りたいと存じております。また緊急対策の取組と並行して財政構造の改革につきましても、私を本部長とする京都新世紀市政改革推進本部において、あらゆる角度から検討を加えながら21世紀にふさわしい市政運営の基盤をしっかりとした確かなものとして参る所存でございます。 以下、副市長、情報政策監及び局長が御答弁申し上げます。 ○副議長(梅林等) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕 ◎副市長(河内隆) 私からは3点お答え致します。まず財政再建団体についてのお尋ねにお答え致します。実質収支の赤字が自治体の標準的な一般財源の規模を示す標準財政規模の20パーセントを超えますと財政再建団体の指定対象となりますが、本市の場合、およそ760億円の赤字で財政再建団体に転落することとなります。自治体がもはや自力では財政再建できず、この指定を受けようとすると、財政再建計画を作成したうえ総務大臣の承認を受けなければならないことになりますが、この財政再建団体となると普通建設事業の抑制、京都市が自らの判断で行っている個人給付施策の全面廃止はもとより、保育料や各種使用料等の大幅な引上げなど国主導による徹底した歳入歳出管理が行われることとなり市民生活にも重大な影響が及ぶことになります。地方分権の時代にあって市民とのパートナーシップによる個性を生かした魅力あふれるまちづくりが重要な今日、こうした事態に陥ることは絶対に避けなければならないと考えております。 次に、財政非常事態宣言への緊急対策についてのお尋ねにお答え致します。現在まさに予算査定を通じまして対象事業などの洗い出しや見直し基準の検討を進めているところであります。また人件費につきましては、給与カットや高年齢層職員の昇級停止などの実施も含め、職員団体、労働組合と話合いを行っているところでございます。したがいまして現段階では、緊急対策の対象となる事業や施設も含め個別具体的な内容をお示しできる状況にはございませんが、その具体化に当たりましては行政サービス水準の低下を来すことのないよう最大限の配慮をすることが重要であると考えております。いずれに致しましても、この度の緊急対策は新しい施設の建設について市民の皆様に我慢をお願いするなどこれまでにない厳しい内容の対策でありますだけに十分に御理解いただけるよう努めて参ります。 最後にペイオフ解禁対策についてのお尋ねにお答え致します。本年7月に会計室、理財局を中心にペイオフ解禁対策検討委員会を立ち上げ、国において取りまとめられた対応方策を参考に金融機関の経営状況の把握と具体的な公金預金の保護方策について検討を進めております。金融機関の経営状況の把握につきましては、その健全性や流動性などを分析することが必要であり、自己資本比率や預金量の推移などを指標とすることを検討しております。また具体的な公金預金の保護方策につきましては、指定金融機関からの担保の充実、地方債による公金の運用及び預金、債権と借入金債務との相殺などの手法について地域経済に及ぼす影響をも考慮しつつ検討しているところでございます。今後更に検討を深め、できる限り早く対応策を取りまとめて参ります。以上でございます。 ○副議長(梅林等) 折坂情報政策監。 〔折坂情報政策監登壇〕 ◎情報政策監(折坂義雄) 新高度情報化推進のための京都市行動計画についてでございますが、本計画は、高度化するITを有効に活用することにより、仕事のやり方を見直し効率化を図る行政改革の一層の推進や市民が時間や手間を掛けずに様々な行政サービスを受けられる仕組みづくり、更には電子化した情報を多様な手段で入手できる開かれた市政の実現を重要な目的としているところでございます。このため本計画ではホームページによる情報提供の拡充や電子申請、届出等の実現をはじめとした42の具体的な取組を実施することとしております。極めて厳しい財政状況の下、情報通信技術の的確な把握と一層経済的な投資に努めることによりまして、市民にとって利便性、透明性の高い電子市役所の実現に邁進して参ります。 ○副議長(梅林等) 不室総務局長。 〔不室総務局長登壇〕 ◎総務局長(不室嘉和) 市政改革大綱の進捗状況についてでございます。現在、全庁挙げて取組を進めております京都新世紀市政改革大綱につきましては、今年度の予算編成におきまして事務事業の徹底した見直しや目標の35パーセントに当たる職員349人の減員などによりまして約70億円の財政効果を挙げるなど5年間の取組期間の初年度と致しまして相当の進捗を図ることが出来たものと考えております。しかしながら、現在の深刻な本市の財政状況の中にありまして、市民生活を守り、この時代を乗り切っていくためには残る事務事業の見直し等の項目を早期に達成することはもとより、これまでにも増して施策や事業の取捨選択、重点化、優先順位の明確化を図るとともに、行財政システムの抜本的な改革を強力に推進しなければならないと考えております。以上でございます。--------------------- ○副議長(梅林等) 次に、市政一般について、日置文章議員の発言を認めます。日置議員。 〔日置文章議員登壇(拍手)〕 ◆(日置文章議員) 北区選出の日置文章でございます。私は、公明党京都市会議員団を代表して市政一般について質問致します。市長並びに理事者におかれましては、私ども議員だけではなく市民の皆様にも分かりやすく納得のいく御答弁をよろしくお願い致します。 21世紀最初の年である本年も残すところあと1箇月余りとなりました。この1年間を振り返ってみますと、国外においては米国同時多発テロの発生、米英両国によるアフガニスタンのタリバンへの攻撃、炭疽菌によるバイオテロの懸念、ITバブルの崩壊による世界不況の懸念などが起こっております。国内においても、引き続く経済の低迷に加え大阪府池田市での小学校児童殺傷事件、狂牛病の発生など思いもよらない出来事や事件が起こりました。また、政治においては小泉内閣が発足し、我が国の浮沈を懸けた構造改革が本格的にスタートすることになりました。正にすさまじい激動の時代を迎えているとの感を強くするのは私ばかりではないと思います。私は、4年前の平成9年2月市会の代表質問で有名なシェル・グループの長期予測を紹介しました。その要点は次のとおりであります。今後20数年間を改革しないと生き残れない改革競争の時代と位置付けられるが、日本の行政改革や規制緩和のペースはとても遅く、世界のスピードに付いていけない。19世紀に凋落した英国にそっくりであり、2020年には国家システムが破綻し日本は消えいくであろうというのであります。 〔梅林副議長退席、磯辺議長着席〕 ◆(日置文章議員) (続)やたらに悲観的になる必要はありませんが、混沌と停滞の状態にある日本に対する厳しい警告として捕らえることが大事ではないかと訴えました。この間の国内外の動向を見ますと、正にあらゆる分野で改革が急務であるとの感を強くするのであります。京都市においても正にそのとおりであり、2002年が京都市民にとって夢の持てる年となりますように桝本市長のリーダーシップの発揮に期待するものであります。 そこで、まず初めに財政問題について質問致します。10月31日、平成14年度予算の編成において580億円の財源不足が発生することから、桝本市長は財政の非常事態を宣言し、平成14年度から2年間の予算編成に関し五つの柱から成る緊急対策を発表されました。好調であったIT産業の不況などにより税収が大幅に減少することが大きな要因であり、厳しいマイナスシーリング等により今年度と同程度の財源を確保できたとしても、なお300億円近い財源が不足する状態であります。もはや従来のような手法の延長では対応し切れるものではなく、政令指定都市として初めて今回の非常事態宣言に至ったものであります。しかし、今回発表された五つの方針に基づき来年度予算を編成し執行するためには、従来以上に本市職員並びに特に市民の理解と協力が必要となります。そこで来年度予算編成における財政状況の厳しさと本市の方針について市民しんぶん、テレビ、ラジオ等あらゆる手段を活用してできるだけ市長自らの言葉で職員と市民に訴え理解と協力を求めるべきでありますがいかがでしょうか。その際に特に大事なことは、市長と本市職員が今回の非常事態を乗り越えるために必死で頑張っている姿を市民の皆様にしっかりと見せることであります。そのことによって初めて市民の理解と協力も得られるのではないでしょうか。正に桝本市長のリーダーシップが問われていると言っても過言ではありません。以上の点を踏まえ桝本市長の御答弁をお願い致します。 次に、来年度予算編成方針の具体的取組についてお伺い致します。人件費の削減をはじめとする五つの緊急対策については、今後具体的な内容が検討されるものと思いますが、その具体化に当たっては、市民生活に直結したサービスの低下は何としても回避することが最も重要であります。この点についての桝本市長の強い決意と今後の具体的な取組についてお伺い致します。 次に、公明党市会議員団の平成14年度予算要望についてお伺い致します。私たち公明党市会議員団は10月5日、市長あてに平成14年度京都市予算編成に対する要望書をお渡ししました。構造改革元年に当たってとのタイトルの下、重点要望項目33項目、局別要望項目166項目から成っております。従来にない厳しい財政状況の下、市民の皆様から頂いた税金を1円たりとも無駄にしない覚悟で抜本的な行財政改革に取り組むとともに、市民生活に直結する予算は安易に切り捨てないとの基本姿勢を堅持すること。そのうえで、限られた財源の中で情報化、産業・観光、環境、教育、子育てなどの分野への選択と集中が必要であることを訴えております。そして、以上の観点に立ち来年度を構造改革元年と位置付け、従来の要望に加え構造改革の視点を大胆に提言しております。厳しい財政状況を乗り越えるための構造改革の実行と21世紀の京都に対する市民の夢の実現というテーマを掲げての予算要望であります。この公明党市会議員団の予算要望書に対する市長の評価と来年度予算への反映についてお伺い致します。 次に、京都市一般会計財政収支試算の見直しと京都市財政の健全化に向けた取組についてお伺い致します。本市では昨年6月、平成12年度当初予算を基に平成13年度から平成17年度までの5年間について一般会計の収支規模の試算を行い発表しました。しかしながら、前提条件のうちの経済成長率が大幅に悪化したため、平成14年度の財源不足額の見込みが当初の450億円から580億円になり約130億円も不足額が増えるという事態になりました。このままでは平成17年度の見込みはかなり悪化することが予測されます。そこで流動的な部分はありますが、前提条件を精査して収支試算の見直しを行うとともに今後の本市の財政問題に焦点を当てた具体策を策定し、行政、議会、市民が一体となって危機的な財政状況を乗り越えるべきであると思いますがいかがでしょうか。 次に、行政の無駄をなくすための公会計改革の新たな手法の導入についてお伺い致します。民間企業は、株主や債権者といった利害関係者に財政状態や経営成績を知らせるため決算期ごとに財務書類を作成し開示しております。貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書が主なもので、これによって投資した資金に見合う収益を上げ健全な経営を行っていることを説明するのであります。これらの企業会計の手法を自治体などの会計に活用するのが公会計改革であります。企業が利害関係者に対するのと同様に、貸借対照表や企業会計の損益計算書に当たる行政コスト計算書などを通し行政は市民に説明責任を果たすことが求められております。本市においては、昨年12月に平成11年度決算の貸借対照表を作成し公表しましたが、行政コスト計算書、キャッシュフロー計算書も早期に作成し公会計改革を推進すべきでありますがいかがでしょうか。 財政問題の最後に京都市基本計画推進プランについてお伺い致します。このプランは、京都市基本計画の前半期5年間の重点事業200項目を盛り込んでおり、総事業費は5,800億円規模になります。21世紀の京都が安らぎと華やぎのあるまちとなるためには何としてもこの推進プランをやり遂げなければなりません。大変厳しい財政状況ではありますが、何としても財源を確保し、この推進プランを達成することにより市民に夢と希望を与えることが桝本市長の重大責務であると思いますが、具体的な取組についてお伺い致します。 第2点目に市政改革についてお伺い致します。現在京都市では、本年2月に策定された京都新世紀市政改革大綱に基づき取組を進めております。国においても小泉内閣の下、聖域なき構造改革が叫ばれ、日本のあらゆる分野にわたる改革がスタートしております。我が国が抱えている様々な課題を真に解決できるかどうか、まさに正念場であります。私たちの京都においても同様であります。桝本市長の下、市政改革に精力的に取り組んでおりますが、更にその改革のスピードを速めなければなりません。桝本市長の更なるリーダーシップの発揮に期待するものであります。 そこで初めに自治体基本条例の制定についてお伺い致します。昨年3月の代表質問で私は、新地方自治法の施行を踏まえて日本国憲法第8章地方自治に基づき地方政府としての立場を明確にするために地方自治体の憲法ともいうべき本市独自の京都市基本条例を自治体レベルの基本法として制定することを提案させていただきました。米国の自治体では、正に自治体憲法であるホームルール憲章を定めている例が多く、我が国においても地方分権の進展に伴い自分たちの憲法を自治体基本条例の形で作ろうという動きが出始めております。昨年末には北海道ニセコ町でまちづくり基本条例が制定され、川崎市、札幌市、伊東市、北海道、群馬県、高知県などが基本条例の制定に取り組んでおります。これは京都市市民憲章や世界文化自由都市宣言あるいは他都市で行われている文化都市、健康都市、非核平和都市などの都市宣言が自治政策上の主要理念を政治的に宣言しているのとは異なり、その自治体の自治を法的に方向付ける基本原理を定める自治の基本原理条例であると言えます。その法的な特徴として以下の点を挙げることができます。1.自治体基本条例は、形式はあくまで一条例でありますが、前文をはじめその中身が自治の基本原理を定めており、他の条例をはじめ自治立法づくりやその解釈運用を法原理的に方向付ける効果を持つのであります。更に自治体行政にかかわる国の法令の解釈運用にもその地域自治原理を示そうとする狙いもあります。2.日本国憲法の民主、平和主義条項を確認、具現化するだけでなく、憲法13条の幸福追求権、21条表現の自由と25条生存権の見直しにより出てくるプライバシーの権利、知る権利、環境権、平和的生存権、子どもの権利などの新しい人権を実現していく地域自治原理を定めるものであります。そこに自治体憲法の特質があり、全国自治体による基本条例づくりは21世紀における日本国憲法の発展をも意味することになります。こうした自治体憲法条例づくりを通して各地域で住民の憲法感覚が試されるとともに磨かれるのであります。以上の点を踏まえ、町衆に代表される住民自治の歴史を有する本市として京都市基本条例の制定に向け取組を開始すべきと思いますがいかがでしょうか。 次に、外郭団体再整備の取組についてお伺い致します。全国的にも外郭団体の経営内容は悪化しており、各自治体とも再整備に向けた取組を強化しております。総務省の公開したデータによりますと、全国の地方自治体が資本金や基本財産の50パーセント以上を出資している外郭団体4,580のうち269法人が平成11年度の時点で債務超過に陥っていたことが明らかになりました。そのうち24法人は債務超過額が10億円を超えていました。また、地方自治体と民間企業が共同出資して設立した第三セクターの経営破綻件数が本年は8月時点で既に17件に上り、過去最高だった昨年の8件の倍以上に達しており、負債総額も3,693億円と過去最悪だった昨年の約1.8倍となっております。特に本年2月に大型リゾート施設シーガイアを運営する宮崎市のフェニックスリゾートが会社更生法の適用を申請して破綻し負債も2,762億円と巨額であったことは皆様も記憶に新しいことと思います。小泉政権の構造改革に対応する形で自治体も地方財政の健全化が求められており、その関連でも第三セクターの統廃合が進むものと思われます。本市においては、平成12年3月に京都市外郭団体再整備計画を策定し外郭団体の再整備に向けた取組を進めております。平成12年度の決算を見ますと、京都御池地下街株式会社が当期損失2億2,400万円、累積損失11億4,600万円、京都醍醐センター株式会社が当期損失5億100万円、累積損失9億9,800万円、京都二条開発株式会社が当期損失2億7,100万円、累積損失3億9,000万円となっております。更に京都駅南口再開発株式会社が2億3,500万円、山科駅前再開発株式会社が2億3,900万円の債務超過に陥っております。このような状況を考えますと、今後更に財政支援のための本市の負担が増えるものと思われます。現在、本年度新たに設置された外郭団体経営改善支援チームにより平成12年度決算に基づく経営状況の点検評価を行っておりますが、この点検評価の結果に基づき今後どのような取組をされるのかお伺い致します。また、本年3月普通予算特別委員会で、外郭団体の見直しに関する私の質問に対して、桝本市長は問題を先送りせず、専門家の意見を聴き、一定の結論が出たらできるだけ早い時期に重大な決断をしたいと答弁されましたが、この点についてもどのようにされるのか具体的にお答えください。 次に、本市業務の外部委託についてお伺い致します。この点については京都新世紀市政改革大綱に基づき現在取組がなされております。国においても旧通産省は、地方自治体と民間企業が共同で自治体業務の外部委託について検討する行政サービスアウトソーシング、外部委託研究会を本年1月に設置しました。自治体の福祉や窓口などの業務を民間の視点を入れて分析し先進的な自治体の取組を参考にしながら外部委託の範囲や具体的な進め方を探ることとしております。研究会が外部委託できる分野として検討するのは、1.医療や保育などの福祉サービス、2.窓口と庶務、3.情報システムの構築、運営の三つで、人件費や施設費を含む業務コストを正確に把握し、外部委託の方が有効なものを洗い出して委託計画を作る予定であります。現在、本市では京都新世紀市政改革大綱に基づき41項目の検討が行われておりますが、国の研究会の成果も踏まえ、より効果のある取組をするために本市独自の外部委託推進計画の策定を提案したいと思いますがいかがでしょうか。 次に、電子自治体構想についてお伺い致します。近年の情報通信技術いわゆるITの飛躍的発展により、我が国における社会経済活動は急激な構造変化に直面しており、インターネット、携帯電話の爆発的普及や電子商取引の発展に見られるように急速にデジタルネットワーク化が進行しております。こうしたいわゆるIT革命により日常生活における利便性は急速に高まっており、これに比例して市民の行政に対するニーズは多様化、高度化していくものと考えられます。このような背景の下、21世紀の新たな政府、自治体の在り方として電子政府、電子自治体構想が国や自治体において積極的に進められるようになりました。この電子政府、電子自治体構想には三つの側面があります。それは、急速に進展する情報技術を活用して、一つには、国、自治体が従来以上に利便性の高い行政サービスを国民や市民に提供すること、二つには、行政事務の効率化、簡素化を国、自治体全体で促進し行財政改革に大きく寄与することであり、三つには、国、自治体が高度情報化の核になることによって国、地方の産業の活性化を促進するということであります。国においてはかなり積極的に取組がなされております。本年1月には高度情報通信ネットワーク社会形成基本法いわゆるIT基本法が施行され、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するための取組がなされております。同じく本年1月より超高速インターネット網の整備とインターネット常時接続の早期実現、電子商取引ルールの整備、電子政府の実現、市場原理に基づく民間活力発揮のための環境整備などを行い、5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指すe-Japan 戦略もスタートしております。今後、国及び地方自治体を相互に接続する総合行政ネットワークや住民票の写しの広域交付と転入転出手続の効率的処理実現のための住民基本台帳ネットワークシステムが構築される予定であります。平成14年8月には各市町村と都道府県、都道府県と国がネットワークで接続され、平成15年8月には全国共通で住民票交付を開始する予定で取組が進められております。更に平成16年までに国の直轄事業において段階的に電子入札、申請、届出のオンライン化が実現することとなっております。本市においては平成9年5月に策定された高度情報化推進のための京都市行動計画を見直し、新たに新高度情報化推進のための京都市行動計画を本年5月に策定され取組の強化がなされております。 そこでこのような状況を踏まえ何点か質問を致します。まず初めに、市民への広報の必要性についてであります。電子自治体という言葉は聞かれますが、市民サービスがどのように向上されるのか、市民の皆様には分かりにくいのが現状であります。今後は本市の電子自治体構想と具体的な取組並びに市民生活の利便性の向上等について具体的に分かりやすくまとめた冊子等を作成し、市民の理解と協力を求める必要があると思いますがいかがでしょうか。次に住民基本台帳ネットワークシステムについてお伺い致します。このシステムは、住民票の写しの広域交付や転入転出手続の効率的処理実現など市町村や都道府県が連携して住民サービスの高度化や住民負担の軽減、行政の簡素効率化を図るとともに電子申請やワンストップサービスを支える21世紀に欠かせないシステムであります。国の方針では、平成14年8月には各市町村と都道府県、都道府県と国がネットワークで接続され、平成15年8月には住民基本台帳カードの発行、住民票の写しの広域交付等が実施される予定でありますが、本市においてもこのスケジュールでシステムが導入されるのかお伺い致します。また住民基本台帳カードについては、多目的サービスの利用が検討されております。地方分権一括法の施行により自治事務の電子行政サービス化を各自治体で決定できることになり、今後各自治体で積極的な取組がなされることとなりますが、本市としてはどのように取り組まれるのかお伺い致します。更に、このシステムの運用においては個人情報の保護が重要な課題となりますが、この点についての取組はどのようにされるのかお伺い致します。 第3点目に、大学のまち京都の取組についてお伺い致します。京都は古くから学問のまち、大学のまちと呼ばれてきました。今日、京都市内に38の大学、短期大学が存立していますが、これは学問のまち、文化のまち京都の長い歴史を考えますと決して偶然ではありません。これらの大学は、文化や産業の振興をはじめ、これまで京都の都市づくりに大きな役割を果たしてきました。21世紀の新しい時代を迎えた今日、京都の新たな都市づくりを考えますと、京都は我が国の他地域には例を見ない多くの大学が集積した都市であり、この知的文化資源をいかに活性化させ有効に活用するかが重要な意義を持っていると思われます。しかしながら、現在の大学を取り巻く環境は急激に変化しており、今後ますますその変化の速度と規模は増すものと予想されます。平成4年をピークとした18歳人口の減少は更に進み、魅力ある大学としての各大学間の競争は一層激化するものと思われます。また高等教育の在り方が問われている中にあって、国も大学改革に積極的に取組を始めております。本年6月に行われた第10回経済財政諮問会議において遠山文部科学大臣より提出された大学の構造改革の方針並びに大学を基点とする日本経済活性化のための構造改革プランには、従来にない大胆かつ柔軟な発想に基づく内容が盛り込まれております。大学の構造改革の方針では、1.国立大学の再編統合を大胆に進め活性化を目指す。2.国立大学に民間的発想の経営手法を導入し、新しい国立大学法人に早期に移行させる。3.大学に第三者評価による競争原理を導入し、国公私立トップ30の大学を世界最高水準に育成する等のことが述べられております。また、大学を基点とする日本経済活性化のための構造改革プランの中では、大学発の成果の産業化への目標を明確にすることや大学と都市機能を一体化した21世紀型産業、頭脳拠点都市の整備等が述べられており、大学を核とした都市の活性化並びに産業振興が強く前面に打ち出されております。大学問題に対する施策の重要性が国、地方共に急激に増してくるものと思われます。更に本年9月にまとめられた改革先行プログラムの中間取りまとめ案では、学科の設置及び学部、学科の改廃を一層弾力化するよう第三者機関による継続的な評価の在り方の検討や大学設置基準等の見直し、大学新増設等における工場等制限制度の見直しの検討が述べられており、大学内外を含めた改革が急速に行われるものと思います。本市では従来から大学問題に積極的に取り組んでおり、平成5年には全国に先駆けて大学を核とした新たなまちづくりと大学支援の施策をまとめた大学のまち京都21プランを策定しました。大学施設整備支援・誘導制度の創設、財団法人大学コンソーシアム京都の設立、キャンパスプラザ京都の建設など、このプランに盛り込まれた具体策はほとんど達成しており、本市の努力に対して敬意を表したいと思います。しかしながら、大学を取り巻く環境はこのプラン策定時と比べて大きく変化しており、今後の変化は更に私たちの予想をはるかに上回るものと思われます。そこで新たな時代に対応した新プランを策定すべきと思いますが、具体的な取組についてお伺い致します。 次に、大学施設整備への支援と大学を核とした産業振興対策についてお伺い致します。先ほど述べたとおり、国で検討されている方針では国立大学の再編統合、独立法人化、大学発の新産業創出の加速化などが大きな柱となっております。このような背景の下、国立大学において産業界、行政と連携を取り新産業の創出等に積極的にかかわっていこうとの動きが出てきており、先日発表された京都大国際融合創造センター内への先進材料・デバイス開発産学融合センターの設置と京都大学桂イノベーションパーク構想は正にこのような動きそのものであります。大学を核とした施策を推進するチャンスであり、本市としてもこの構想実現のため積極的に取り組んでいただきたいと思いますがいかがでしょうか。 更に、この京都大学の構想を踏まえ、産業創出を核とした本市産業活性化のためのネットワーク構想を提案したいと思います。具体的には、研究開発機能の核としての京都大学桂イノベーションパーク、インキュベート機能の核としての京都リサーチパーク、知識集約型企業創出に向けた研究機能の核としての京都駅南口周辺地区、企業集積機能の核としての高度集積地区の四つの拠点をネットワークで結ぶものであります。私はこれを新産業創出みやこのネットワーク構想と名付け、是非とも実現していただきたいと思います。この構想は、米国の経営学者マイケル・E・ポーター教授の提唱した産業クラスターの概念を本市産業の活性化に適用するものであり、従来の地域産業集積を新たな発想で捕らえ直し新たな産業集積を構築しようとするものであります。四つの拠点整備のために本市として全力で取り組んでいただきたいと思いますが、特にこれから具体的に取り組む京都駅南口周辺地区については、他都市で行われておりますように大学関連施設の誘致を検討し、新たな産学共同研究拠点としてはいかがかと思います。この構想を推進することにより、新産業創出に向けた我が国トップレベル、いや世界トップレベルのネットワークが構築され、本市産業の活性化に大きく寄与するものと思われます。桝本市長のリーダーシップの下、行政、大学、経済界、市民が一体となってこの構想を実現してはいかがかと思います。桝本市長の積極的な御答弁を期待致しまして私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(磯辺とし子) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 日置文章議員の御質問にお答え致します。 初めに財政非常事態の下における平成14年度予算編成については、この厳しい局面を市民の皆さんに訴え、御理解と御協力を求めるべきだとの日置議員の御意見は誠におっしゃるとおりであり、私も全く同じ考えを持っております。まず私が私自身の言葉で分かりやすく職員と市民の皆様に訴えて参ります。また市民しんぶん、テレビ、ラジオ等のあらゆる手法を活用し、市民生活を守り切り将来の京都のために真に必要な事業を実施していくため、正にそのために財政非常事態を宣言したものであり、歯を食いしばってこの難局を克服していくことを誠意を持って粘り強く説明し、市民の皆様の御理解と御協力を賜って参りたいと考えております。また議員御指摘のとおり、庁内体制、職員の取組姿勢も大変重要であり、私が先頭に立って京都市の現在及び将来のためにリーダーシップを遺憾なく発揮し、また京都市の全職員一人一人が対策本部員となったつもりで火の玉一丸となってこの誠に厳しい局面を乗り越える決意でございます。 次に、緊急対策の具体的な取組についてでございます。極めて深刻な財政状況の下におきまして、そうであっても当面、市民の皆様の生活をしっかり守るため使用料、手数料等は原則として据え置いて参ります。また今日の厳しい経済環境の下での市民の皆様の生活に極力配慮し適正な行政サービス水準を維持するよう全力を尽くして参ります。併せて長期的な視点に立って将来の京都のために真に必要な事業を着実に推進しなければなりません。これらを実現するために財政の非常事態宣言を行い、市役所自ら身を削って努力するなど誠に厳しい内容の緊急対策を講じたということでございます。その具体化に当たりましては、市民の皆様の御理解と御協力の下、新しい施設の建設を我慢していただくことも必要ではございますが、公営企業にはこれまで以上に経営健全化に取り組むよう求め市民生活に直結するサービス水準の低下を来さないよう最大限努力して参る決意でございます。 公明党市会議員団から頂きました構造改革元年に当たってと題する平成14年度予算に対する要望書についてでございます。我が国の社会全体が大きな転換期を迎え、社会経済システムの様々な改革が進められている中、本市におきましては京都新世紀市政改革大綱に基づき行財政全般にわたる構造改革を行い、新たな時代の潮流に対応する行財政システムの構築を目指しているところでございます。先般、公明党市会議員団から頂きました平成14年度京都市予算編成に対する要望書は、構造改革の視点を大胆に提言されており誠に時宜を得た貴重な御提言を頂いたものと認識致しております。平成14年度の予算におきましては、財政の非常事態宣言下での編成になりますが、こうした厳しい局面にこそ市民の生活をしっかりと守りつつ長期的な視点に立って市民の皆様の御期待にこたえていく必要があると考えております。御要望の趣旨を十分に踏まえ、より一層の選択と集中の下、真に必要な事業を着実に推進して参る所存でございます。 次に、基本計画推進プラン達成の取組についてでございますが、推進プランにつきましては、御承知のように生き生きと安心して暮らせる安らぎのある暮らしと魅力と活力あふれる華やぎのあるまちの実現という基本構想、基本計画が描く147万人の京都市民の願いを着実に実現していくための計画でございます。非常事態を宣言をせざるを得ない極めて厳しい財政状況の中、事業によっては実施年度の調整なども考慮しなければならない場合も出て参りますが、市職員一丸となった市政改革の取組や先日発表致しました人件費削減を含む緊急対策をやり切る中で財源確保を図り、市民の皆さんの期待にこたえられるよう全力を尽くして参る覚悟でございます。明るく元気にこの難局を乗り切りまして、同時に安心感のある夢と希望、ロマンの薫り高い京都実現のため推進プランを絵に描いた餅にしないよう全力投球致します。 京都市基本条例の制定についてでございます。私は、今般の地方分権改革により拡大された自己決定権を有効に活用し、市民の皆様と共に安らぎと華やぎのある活力に満ちた元気な京都のまちづくりを進め、個性豊かで魅力あふれる地域社会を実現していきたいと決意しているところでございます。自己決定、自己責任の原則による自主的な政策形成や執行を行うためには地域のルールを主体的に決定していくことが重要であり、条例が地方自治体の自主法としてこれまで以上に大きな意味を持つと考えております。自治体の運営や地域づくりに関する基本理念や基本原則を法的に方向付ける自治体基本条例につきましては、京都市地方分権推進指針に掲げた市民参加の推進、自治立法権の活用等の取組の具体化を進める中で今後更に研究検討して参りたいと考えております。 次に、大学を核とした産業振興対策についてお答え致します。先行き不透明な経済状況の中、私は大学等の研究機関から生み出される研究成果などの知の資源を活用して新産業を創出することが京都経済活性化のかぎであり、正に改革の遺伝子を受け継ぐ京都のまちにおきましては、産学公連携の一層の強化が不可欠であると存じております。こうした認識の下、京都大学から先般発表されました桂イノベーションパーク構想につきましては、国などと連携を図りながら大学発ベンチャーの拠点形成に向け、私どもも国に対ししっかりと要望して参りたいと存じております。また南部創造のまちづくりの先導的役割が期待されております高度集積地区をはじめ京都リサーチパーク地区や京都駅南口周辺地区といった産学公連携が期待される拠点間の有機的な連携を図る中で学から産への技術移転による新産業の創出を促進して参ります。更にこうした空間的な仕掛けづくりと並行し、現在国において取り組まれております地域における大学を核とした技術革新システムであります知的クラスター創生事業とも連動し、大学はもとより国をはじめ府、経済界、産業支援機関や市民の皆様方との強固なパートナーシップの下、他都市に例を見ない厚みのある産学公の連携事業を強力に推し進めて参ります。なお議員から新産業創出みやこのネットワーク構想という京都らしい当を得た名称を御提案いただきましたので、今後関係機関等とも協議検討して参りたいと存じております。 以下、副市長、情報政策監及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(磯辺とし子) 中谷副市長。 〔中谷副市長登壇〕 ◎副市長(中谷佑一) まず外郭団体に対する取組についてお答え申し上げます。現在、外郭団体再整備計画に基づき、昨年度決算に基づく経営状況の点検評価作業を行っております。その点検評価の結果を年末までに京都市の主な出資法人の概要に掲載し公表することを予定しております。またすべての外郭団体に対し点検評価を踏まえた次年度に係る経営改善計画の作成を求めているところでございます。中でも特に経営状況の厳しい団体に対しましては一層の経費節減や経営努力の方策を指導するとともに、抜本的な経営改善に向け団体の公益的役割や本市の関与の在り方をも考慮したうえで、経営基盤の強化やより効率的な運用を図るための事業の廃止、縮小や団体の統合に向けた検討を具体的に進めているところでございます。 次に、外部委託の推進についてでございます。間断なき市政改革を進めるに当たり、今日まで公民役割分担の観点から民間活力の導入を大きな柱として位置付け、今般の市政改革大綱におきましても41の具体的な取組項目を掲げ、既に実施済みのものも含めその達成に向け精力的に取り組んでいるところでございます。今後更に議員御指摘の国の研究会の動向も参考にしながら、現在取り組んでおります京都市PFIガイドラインの策定をはじめ、より効果的な外部委託についての方策や基準の検討も鋭意進めて参りたいと考えております。また直面する本市の危機的な財政状況に対応するために、市政改革大綱に掲げた項目を早期に達成することはもとより、これまで以上に施策や事業の厳しい選択と集中を図るとともに行財政システムの構造改革を強力に推進して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一) 2点についてお答え致します。まず住民基本台帳ネットワークシステムでございます。このシステムは、御指摘のように全国の市区町村が住民基本台帳データを相互に利用し市町村域を越えた住民票の写しの広域交付や転出転入手続の簡素化を図るものでございます。京都市におきましても平成14年8月からのネットワークの稼働、また平成15年8月からの住民票の写しの広域交付の実施と住民基本台帳カードの発行に向けまして、現行の住民基本台帳システムの改修など準備作業を進めております。また住民基本台帳カードの多目的利用につきましては、新たな機器の整備やシステム開発が必要となりますので費用対効果を十分勘案しながら市民サービスの向上につながるよう研究して参りたいと考えております。なお本市個人情報保護審議会からは、一連の準備作業について承認を受けておりますが、併せて実施に際しまして個人情報の保護に最大限の努力を払うよう意見を頂いております。システムのハード、ソフト両面においてセキュリティの確保に万全を期して参ります。 次に、大学のまち京都21プランでございます。京都市では、平成5年に現在のプランを策定し財団法人大学コンソーシアム京都の設立や大学のまち交流センターの建設など極めて先進的な取組を展開して参りました。当面の主要な事業については、ほぼやり遂げ大学のまち京都発展の基盤が整いましたので、御指摘のように新しいプランを策定したいと考えております。18歳人口の減少や制度改革など大学を取り巻く急激な変化と大学コンソーシアムの活動状況を見極めつつ、新しい施策の在り方につきまして少し時間を掛けて研究検討して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 折坂情報政策監。 〔折坂情報政策監登壇〕 ◎情報政策監(折坂義雄) 電子自治体の広報についてでございますが、新高度情報化推進のための京都市行動計画の目標に利便性の高い電子市役所の確立を掲げており、市民サービスの向上、行政の効率化、市内情報基盤の整備を目指して42の具体的事業を推進することとしているところでございます。日置議員御指摘のとおり電子市役所を実現するためには、市民の御理解と御協力をいただくため、この行動計画を市民の皆様に分かりやすくお知らせすることがすべての第一歩であると考えておりますので、市民しんぶんによる広報も含めて計画のより一層の周知を図って参ります。 ○議長(磯辺とし子) 成瀬理財局長。 〔成瀬理財局長登壇〕 ◎理財局長(成瀬英夫) 財政収支試算の見直しと財政健全化についてお答え致します。昨年作成致しました財政収支試算は、現行制度を前提と致しまして一定の経済成長率を想定して策定したものでございます。この収支試算につきまして見直しの必要性は認識致しておりますが、現在国の構造改革の取組やそれに連動した地方財政計画の見直しが論議されておりますほか、景気の先行きもますます不透明感を増してきております。したがいまして現状では収支試算の前提とすべき指標を見出し難い状況にございますので御理解を賜りたいと存じます。また財政の健全化を進めていくためには、まず当面の非常事態を乗り切っていくことが不可欠でございますので、市民や市会の皆様方の御理解、御協力を得ながら緊急対策が実効あるものとなりますよう全力を尽くして参ります。 次に、公会計改革の新たな手法の導入についてでございます。まずキャッシュフロー計算書につきましては、現在のところ自治体の会計制度に共通した作成基準がなく、また作成している自治体も極めて少ないため比較分析も困難な状況でございますので、自治体会計制度の中でのより有効な活用方策も含めまして引き続き研究して参りたいと考えております。また行政コスト計算書につきましては、現在作成に取り組んでいるところであり、本市会におきましてバランスシートと併せて御報告して参りたいと考えております。今後ともこうした新しい手法も活用して本市財政につきましての説明責任を果たせるよう更に努力して参ります。以上でございます。--------------------- ○議長(磯辺とし子) 次に、市政一般について、谷口弘昌議員に発言を許します。谷口議員。 〔谷口弘昌議員登壇(拍手)〕 ◆(谷口弘昌議員) 伏見区選出の谷口弘昌でございます。先の同僚議員に引き続き公明党京都市会議員団を代表して市政一般について質問致します。最後の登壇者として質問致しますけれども、市長並びに関係理事者の皆様におかれましては明快にして誠意ある答弁をどうかよろしくお願い致します。 明年の予算編成における京都市財政の大変厳しい状況が明らかになりましたが、市長におかれましては構造改革に対する大きなリーダーシップを発揮していただき、選択と集中でめり張りの付いた予算編成をどうかよろしくお願い致します。ただし、福祉の後退や住民サービスの低下につながらないよう万全の取組と工夫を要望しておきたいと思います。 ところで9月11日を境に世界は変わったと指摘されるアメリカ同時多発テロ事件から2箇月が経過致しました。テロはいかなる理由があろうとも決して許すことのできない絶対悪であります。私たち公明党は、強い怒りをもってテロに立ち向かい、テロ防止、根絶に向けて国際協力を更に強化していかなければならないと考えております。そのことを踏まえ、世界のあこがれの都京都として千年の歴史にはぐくまれた伝統と文化を継承しながら、平和貢献、国際交流にこれからも積極的に取り組んでいかなければならないと思います。 そこでまず最初に京都市国際化推進大綱に関連して質問させていただきます。京都市は平成2年3月に京都市国際交流推進大綱を策定し、京都市の国際化に向けた取組を行ってきました。その後の国際化を巡る情勢の変化を踏まえ、新たな方針を示す必要が生じたことから、平成8年8月京都市国際化推進大綱策定審議会を設置し、平成9年4月には答申、今後の京都市の国際化について-京都市国際化推進大綱の策定に向けてを出されました。この答申の趣旨を踏まえ、関係各局の意見をまとめる形で平成9年11月に京都市国際化推進大綱が策定されました。この大綱は、第1章、総論、国際化の理念と目標、第2章、共楽のまちを目指して、国際化を目指す施策の推進、第3章、共楽のまちへの基盤づくり、まちづくり、人づくり、第4章、共楽のまちへの体制づくり、国際化への支援体制及び推進体制から成り、21世紀を見据えながら中長期的な目標として各施策が掲げられております。桝本市長1期2年目のときに策定されたものであり、京都を世界へ発信する思いのこもったものとなっております。この大綱の中で、今後の具体的進め方については、既に実施段階にあるものから構想段階のものまで含んでおり、今後の社会情勢や財政状況等の変化に対応した取組が必要となることから、市民や民間団体、国等の公的機関、教育、研究機関、企業等との相互連携の下に10箇年程度を視野に入れた国際化推進施策実施計画を策定することとしております。しかしながら、大綱策定後4年が経過している現在、いまだにその実施計画が明らかにされておりません。そこでお尋ね致しますが、この実施計画については、なぜ今の時点で策定されていないのか、また現時点での進捗状況についてはどのように把握されているのか明確にお答えいただきたいと思います。 京都市国際化推進大綱第2章第1節、共生のまち京都、内なる国際化の推進の中で人権意識の高揚のための啓発、教育の推進が掲げられておりますが、ここで世界人権問題研究センターについて質問致します。世界人権問題研究センターについては、過去にも本会議並びに委員会で質問し施設の整備を要望してきたところであります。本年1月に策定された京都市基本計画、2001年から2005年の安らぎ華やぎ京都21推進プランの中では、第1章第1節、すべてのひとがいきいきとくらせるまちの項目の中で掲げられております。残念ながら2001年から2003年までは基本計画検討、調整となっておりまして、平成6年にセンターが開設されて早くも7年が経過している現在、できる限りの早急な研究、執務環境の改善に取り組むべきであると考えます。過去の私の質問に対し、京都府と協議を進める中で調整を図っていきたい旨の答弁がありました。平成10年9月の京都府議会における我が党議員の質問に対し荒巻知事は、センターの施設整備につきましても、センターの活動基盤の強化を図るうえでの引き続きの課題と考えておりまして、財政状況が極めて厳しい折ではありますが、研究センターを中心にセンターの将来像も含め京都市とも協力して検討を進めて参りたいと考えておりますと答弁されております。平成6年から平成15年、2003年というと早くも9年間がたっており、調整、検討期間が余りにも長いと思います。本来の設立意義であります人権問題について、広く世界的視野に立った総合的な調査研究を行い、市民がその成果を享受できる拠点としての整備に積極的に取り組むべきであると考えます。整備については小学校跡地やキャンパスプラザ京都の活用等工夫ができないかとも考えますが、推進プランの年次計画では2004年、2005年で基本計画策定、推進となっております。本当に策定ができるのかどうかその見通しについて具体的にお答えいただきたいと思います。 続いて人権教育のための国連10年京都市行動計画についてお尋ね致します。今回のアメリカ同時多発テロ事件を通し、教育の重要性ということを改めて強く実感したところであります。平成6年12月の第49回国連総会において、平成7年から平成16年までの10年間を人権教育のための国連10年とすることが決議されました。この決議は、社会の発展と平和は人権の確立なくしては成立せず、そのためには人権教育が不可欠であるとの認識に基づくものであり、人権確立の歴史とも言える人類の歴史と今後の方向は教育の力によるところが大きいことを示しております。京都市行動計画第3章、人権教育の推進計画第1項目で、学校等における人権教育の推進と取組の方向性が示されております。教育委員会としては、その計画を受け学校における人権教育を進めるに当たって試案を平成11年4月に発表されたところであります。この試案に基づいて教育委員会並びに人権教育検討委員会で最終のまとめ作業を進められているとのことでありますけれども、いつ人権教育のより積極的な推進の指針としての最終的なまとめをされるのかお答えいただきたいと思います。 平成16年が人権教育のための国連10年の最終年であります。現在、学校における人権教育を進めるに当たっての最終版が取りまとめられておりますが、あと3年を残して最終年となるわけであります。平成16年で人権教育の取組が終わるということではありませんが、教育先進都市京都として、本市独自に人権教育に取り組む期間を新たに設定し、更なる積極的な取組をされてはどうかと考えます。本年8月南アフリカのダーバン市で世界150箇国6,000人が参加して、国連の反人種・差別撤廃世界会議が開催されました。そこでNGO、非政府組織フォーラムの教育小委員会が主催してシンポジウム、人権と平和のための教育-その技術、戦略、成功例が開催されました。その中で、人種差別、排外主義、不寛容との闘いのためには、社会のための教育から教育のための社会へ思想の枠組みの根本的転換が不可欠であるとの意見が出され、また、教育は一定の価値観を押し付けたり特定の社会への忍従を助長するものであってはならないし、教育のための社会はほかの人々の犠牲を顧みない自己中心的な生き方ではなく、互いを尊重し支え合いながら共に価値創造していく社会である。更には教育のための社会の構築が差別と紛争の予防につながるとの主張がありました。併せて、出席者からは2005年から第2次国連人権教育の10年を設定してはどうかとの提案も出されました。先に述べましたとおり、あと3年で10年の区切りとなるわけでありますが、現在、人権教育指針の最終版が取りまとめられているわけでありますので、改めて本市としての取組をされてはと思います。いかがでしょうかお答えいただきたいと思います。 さて、本年8月、私ども公明党が強力に推進して参りました高齢者の居住の安定確保に関する法律、高齢者居住安定確保法が施行されました。この法律は急速に進む高齢化に対応し、老後の住まいの不安を解消することなどを目的に福祉施策との連携による安全、安心の住宅確保、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の創設、高齢者向け優良賃貸住宅市場の整備と住宅供給の促進等が盛り込まれており、今後の高齢者住宅施策の充実に大きな成果を挙げるものとして期待されております。このことも踏まえ、大きな質問の二つ目として市営住宅における高齢者住宅施策について質問致します。平成8年12月には、平成17年度を目標年次として京都市住宅マスタープランが策定されました。その折返地点となる本年5月には、京都市住宅審議会より新たに住宅施策に対する市民ニーズと新しい基本計画の方向を受け止め、既に出来ている方策を吟味しつつ当面している様々な問題を解析し、新しい発想でもって取り組んでいくための答申、21世紀における安らぎのある暮らしを支える住宅施策の在り方についてが出されたところであります。この答申を受け、現在京都市第8期住宅建設5箇年計画を含む新たな住宅マスタープランが策定中でありますが、多世代が支え合う地域居住の支援からも多様な世代のニーズに対応した住宅の供給、特に高齢者や障害のある市民が安心して暮らしやすい住環境並びに住宅の整備が推進されなければなりません。本年2月に策定された京都市公営住宅ストック総合活用計画の中でも、公営住宅の高齢者向け改善事業の基本方針が示され推進が図られていくことになっております。この間、高齢者のための住み替え制度の創設や高層の住宅と中層の住宅を渡り廊下で結び、中層の住民も一部エレベーターが利用できるなどの工夫がされてきたところでありますが、まだまだ十分でないのが現状であろうと思います。伏見区は公営住宅が非常に多い地域であり、更に高齢者の居住比率も他行政区に比べて高い地域であります。その中で特にお年寄りの方から要望のある点について質問致します。まず平成10年に制度化された市営住宅における高齢者の住み替え制度の充実についてであります。現在1年に1度、1月に住み替え制度の募集を行っていますけれども、大変回数が少ないと思います。高齢化や障害、病気の理由で低階層への住み替えを希望される場合に、現状では1月の募集を外すと1年間待たなければなりません。そこでお尋ね致しますが、年4回行われている一般公募の際に住み替え制度についても合わせる形で工夫ができないかということであります。申込みについても随時に受け付け、あらかじめ住み替えを希望される住宅を把握したうえで一般公募のときに処理をした方が効率的であると思いますが、この点についてのお考えをお尋ねしたいと思います。また現在、京都市公営住宅ストック総合活用計画に基づいてエレベーター設置が順次進められていくことになっておりますが、エレベーター設置団地についても住み替え制度の対象住宅として工夫され活用されるように要望しておきたいと思います。 次に、市営住宅の保証人制度についてお尋ね致します。通常、市営住宅に入居する際には1人以上の保証人が要求されます。収入証明書の提出を義務付けられることから、特に単身のお年寄りにとっては大きな負担となっております。ケースとしては多くはないかもしれませんが、特に身寄りのない単身のお年寄りにとっては保証人の確保が大きな問題となって参ります。そこでお尋ね致しますが、保証人制度の在り方についての改善をお願いしたいと思います。実質的に収入要件の必要性が形骸化している中で、特に単身のお年寄りのことを考え、保証人要件の緩和をお願いしたいと思います。例えば収入要件があるため保証人確保が困難な入居資格者に対してどのような対応をされるのかも含めて具体的にお答えいただきたいと思います。併せて現在市営住宅の一般住宅公募については、前回の公募まで11回以上落選されている世帯については多回数落選者優先選考がありますけれども、単身のお年寄りなど一般住宅申込資格世帯以外の住宅には適用されておりません。特に単身住宅の申込資格世帯についても多回数落選者優先選考の対象に加えるべきであると考えますが、この点についてもお答えいただきたいと思います。 高齢者住宅施策に関連して最後の質問ですが、リバースモーゲージの普及促進について質問致します。京都市は、平成11年度の地域政策研究事業の一環としてリバースモーゲージに関する研究を財団法人大学コンソーシアム京都に委託されました。リバースモーゲージとは、簡単にいうと自己の保有する資産、住宅や宅地などを担保として、そこに住み続けながら高齢期の生活に必要な資金の融資を受け、死後にその資産を売却して融資の返済に充てる方式をいい、高齢者の資産の流動化を図り、高齢期における活動資金の自由度を高め居住の安定を図る方策として期待されているものであります。先月10月23日、厚生労働省は、住宅や土地はあるが所得の少ない高齢者世帯を生活支援するために高齢者が所有する住宅や土地などの不動産評価額を限度に介護保険料や生活費などを無利子で貸し付ける制度を導入する方針を決め、近く都道府県ごとに不動産評価などに関する専門家委員会を設置し、来年2002年度からの導入を目指すとの新聞報道がありました。私としては、先に触れた国土交通省の高齢者居住安定確保法と併せて将来この制度の活用を積極的に図るべきであると考えます。地域政策研究事業の報告と併せてリバースモーゲージに関する本市としての基本的な考え方、取組についてお答えいただきたいと思います。 大きな質問の三つ目として、京都市が平成11年に策定した京都市緑の基本計画についてであります。この計画は、京都市グランドビジョンの緑部門ともいうべきもので、2025年までの四半世紀を見据えた目標や施策などを示すものであります。具体的には、今ある緑の保全活用や公園、道路、河川、学校などの公共公益施設の緑化を進めることはもとより、住宅地、商店街、工場敷地などの民有地の緑化を市民、事業者、行政の揺るぎないパートナーシップの下、積極的に進めていこうとするものであります。基本計画の中では三つの基本方針すなわち、1.緑の保全と活用、歴史、文化、環境を守る。2.新しい緑の創出,緑のネットワークの形成,防災、環境活動の空間を創る。3.市民、事業者とのパートナーシップによる緑化の推進の下、それぞれの基本施策、主要な具体策、実施時期、継続の別、役割分担などがほぼ5年で区切られ、前期、後期として表で示されておりますけれども、現在のその進捗状況についてお答えいただきたいと思います。併せて緑のまちづくりを進める組織体制の整備に関連して京都市都市緑化推進協議会の設置状況、内容についても具体的にお答えいただきたいと思います。 ところで、ここで提案ですが、先にも述べましたとおり、この計画は京都市グランドビジョンの緑部門ともいうべきものであり、2025年までの四半世紀を見据えた目標や施策などを示されたものであります。この進捗については是非とも定期的に、仮称京都市緑化白書又は京都市緑白書として広く市民に報告されてはと思います。いかがですかお答えいただきたいと思います。 次に、区民の誇りの木選定事業に関連してお尋ね致します。この事業は、市民及び事業者とのパートナーシップによる緑化を推進するため、地域で有名な木や歴史のある木、古木名木など区民が誇りに思い次の世代に伝えていきたいと思う木を市民の皆さんと共に選定することにより市民及び事業者の緑の保全に対する意識の向上を図ることを目的に実施されてきたものであります。各行政区ごとで大きな実績を作ることができました。京都市全体では1,386件の応募があり872件、580本、292群の選定がされたところであります。今年度からは区民の誇りの木をベースに、計画の中にも掲げられております保存樹木の指定を推進していかれるとのことですけれども、どのような手順、方法で指定されていくのか具体的にお答えいただきたいと思います。区民の誇りの木や保存樹木が指定されるわけでありますので、それぞれの樹木を巡るグリーン・スタンプラリー又はグリーン・ウォークラリーなどのイベントを大いに工夫し地域の活性化に活用されてはと思いますがいかがですか、併せてお答えいただきたいと思います。都市緑化を推進していくためには何よりも市民の協力が不可欠であります。そのうえで市民参加の都市緑化を推進するためには、主体的な市民緑化活動組織が形成される必要があると考えます。緑の普及啓発と共に環境学習会の開催や緑化講習会の実施など緑化ボランティアリーダーの育成も大変に大事であると考えます。この点についての取組をどのようにされていくのかお答えいただきたいと思います。 最後に地元問題について質問並びに要望を致します。地元伏見区醍醐合場町を流れる柳戸川に面した道路について歩行者安全対策を求める質問であります。この川に面した道路は、新奈良街道と旧奈良街道を結ぶものとなっております。旧奈良街道に面してスーパーがあり、多くの地域住民の方々がこの道路を使うことを余儀なくされております。しかしながら、この道は途中から大変狭隘になっており、歩道もなく歩行者にとっては大変危険な状況が放置されております。この道路については、過去に柳戸川を暗渠化し、外環状線から旧奈良街道に抜ける道路の建設が計画されたことがありましたけれども、地域住民の同意を得られず中断した経緯があります。以前、新奈良街道と旧奈良街道の間に醍醐ショッピングセンターがあったときには、そのショッピングセンターの敷地を行き来されておりましたが、ショッピングセンターが閉鎖され、その跡にマンションが建ってからは、先ほどの柳戸川に沿った道路の利用を地域住民の方々は余儀なくされておるわけであります。度々歩行者とバイクや自動車との接触事故、衝突事故などが発生しており、地域の住民からは歩行者の安全確保の対策が強く求められております。私も、以前より建設局に対し安全確保の対策を強く要望してきたところでありますけれども、歩行者の安全確保の今後の取組についてお答えいただきたいと思います。道路の拡幅及び歩道の設置については難しいとの話もありましたが、歩行者や車いすを利用される方々専用の人道通路の確保を是非ともお願いしたいと思います。柳戸川の北側堤を活用される形で人道通路確保の工夫ができるのではないかと思います。長年にわたり地域住民の方々より危険箇所の指摘があり安全確保の強い要望があるわけであります。歩行者の安全確保は言うまでもなく行政の責務でありますので、速やかにその責務を果たすための対応を強く求めるものであります。重ねて今後の安全確保の取組について前向きな答弁を求めまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。最後までの御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(磯辺とし子) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 谷口弘昌議員の御質問にお答え致します。 まず人権教育のための国連10年京都市行動計画の次の取組についてでございます。私は、基本的人権の尊重をまちづくりの基本に据え、人権文化の構築のための取組を進めてきたところであり、国内行動計画の策定を受け平成11年3月に京都市行動計画を策定致しました。現在この計画に基づき人権文化の息づくまち京都の実現に向け全庁挙げて取り組んでいるところであり、平成16年に最終年次を迎えますが、谷口議員御指摘のとおり人権教育、人権啓発は息の長い長期間にわたる取組が重要であり、その後も取組を継続する必要があると考えております。今後、本計画の進捗状況を点検するとともに国内外の諸状況等を十分に踏まえ、計画期間終了後の取組を検討して参ります。 次に、不動産を活用して老後の生活資金の融資を受けるリバースモーゲージについてでございますが、この制度は、土地、建物は子孫に残すものという相続意識が我が国にはまだまだあることや不動産の流通市場が不安定であることなどの課題がございますが、高齢者が住み慣れた住居で自立した生活を安心して送れるようにしていく方策として期待されているものでございます。このため御指摘のとおり、国におきましては都道府県の社会福祉協議会を実施主体として低所得高齢者を対象にした制度の導入が検討されております。現時点では制度の詳細は明らかになっておりませんが、京都市と致しましても高齢社会の進展に伴い注目を増す制度であると考えており、今後国、府や他都市の動向、本市での地域シンクタンク事業の報告を踏まえながら、しっかりと検討して参りたいと考えております。 以下、副市長、教育長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(磯辺とし子) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一) 世界人権問題研究センターの整備についてお答え致します。本研究センターの整備計画につきましては、世界的視野に立った人権問題に関する研究活動の推進や研究成果を市民に還元するという当初の機能を強化するうえで重要な課題であると考えておりまして、京都市基本計画にその整備を掲げているところでございます。財政の極めて厳しい状況にありまして具体化するには至っておりませんが、府市協調事業でもありますので、研究センターを中心に京都府と連携致しまして具体的な機能や現実的な施設規模につきまして協議し、私どもの京都21推進プランの年次計画に沿って整備基本計画が策定できますように検討を進めて参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕 ◎副市長(河内隆) 私からは2点お答え致します。まず市営住宅の保証人制度及び単身多回数落選者優先選考制度についてお答え致します。現在市営住宅の入居要件として入居者と同程度以上の収入のある連帯保証人を立てていただくこととしておりますが、近年、特に高齢単身の場合等に保証人の確保が困難である方が見受けられます。したがいまして、こうした場合にも支障なく入居していただけるよう保証人制度の在り方について鋭意検討して参ります。また単身者向けの多回数落選者優先選考制度につきましては、高齢化の進展等議員御指摘の趣旨を踏まえまして一般世帯向けの場合と同様の制度を本年12月から実施して参ります。 次に、緑の基本計画についてお答え致します。緑は、魅力あふれる美しいまちづくりに不可欠なものであります。このことから緑の基本計画では2025年に市民1人当たりの公園面積を10平米、空から見た緑の割合である緑被率を33パーセントとすることを目標としているところでございます。この目標の達成に向けまして大原野森林公園等の整備と共に生け垣緑化助成や区民の誇りの木の選定等の取組を推進して参りました。その結果、目標の一つであります市民1人当たりの公園面積は平成12年度末には4.48平米に達し、計画策定時と比べ約1平米増加しております。また京都市都市緑化推進協議会につきましても緑化施策の円滑かつ強力な公民一体での進め方等について検討していただくため年内に新規に立ち上げて参ります。この推進協議会は、学識経験者、事業者、市民団体、行政出身の15名の委員から構成されるものとし、平成13年度内におきましても保存樹等の指定、緑化ボランティアリーダーの育成について早速検討して参ります。更にこれらの緑化施策の進捗状況等につきましては、御指摘のとおり市民の皆様に周知していくことが必要と考えており、その効果的な方法等について検討して参ります。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 不室総務局長。 〔不室総務局長登壇〕 ◎総務局長(不室嘉和) 京都市国際化推進大綱の取組についてでございます。本大綱は21世紀を見据えた本市の更なる国際化を進めるための目標と具体的施策を示したものでございますが、この間、当面の具体的施策の実施につきましては、本大綱と先般策定致しました京都市基本計画、安らぎ華やぎ京都21推進プランにより進めてきたところでございます。これらに掲げました施策につきましては、関係部局との緊密な連携の下にその推進に努めるとともに毎年その進捗状況を把握しておりまして、例えば京都市外国籍市民施策懇話会の設置、高齢外国籍市民への福祉給付金の支給、また京都地域留学生住宅保証制度の創設、職員の採用に係る国籍要件の緩和など今日時点で取組項目の約75パーセントについて実施又は一部着手しているところでございます。御指摘の点につきましては、大綱策定当時に比べまして本市財政は極めて厳しい状況にございますが、外国籍市民を巡る状況や社会情勢の変化の中で今後取り組むべき事業の精査を行い、実施計画の策定の検討を急いで参ります。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 西都市計画局長。 〔西都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(西晴行) 市営住宅の住み替え制度についてでございます。入居者が高齢、病気等により日常生活に支障を来すこととなった場合に住宅変更ができる制度を平成10年度から実施し、これまで募集戸数の拡充などに努めてきたところであります。御指摘の住宅変更募集の回数を増やすことにつきましても今後鋭意検討して参ります。更に高齢者に優しい居住環境の実現のためストック総合活用計画に基づき既設中層住宅へのエレベーター設置や高齢者向け改善事業につきましても順次進めて参ります。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 野嶋建設局長。 〔野嶋建設局長登壇〕 ◎建設局長(野嶋久暉) まず区民の誇りの木及び保存樹についてお答え致します。保存樹の指定に当たりましては、区民の誇りの木選定事業の成果を踏まえまして年度内に設立致します京都市都市緑化推進協議会において検討していただき年度内に指定することと致しております。更に保存樹と区民の誇りの木を活用したイベントや啓発活動につきましても関係局と協議して参りたいと考えております。 次に、緑化ボランティアリーダーの育成についてお答え致します。御指摘のとおり、多彩な都市緑化事業を推進していくためには市民のボランティア活動が必要であり、その活動を指導していくリーダーの育成が重要であると考えております。今後、京都市都市緑化推進協議会等の意見を頂き、緑化イベントでの実地研修等によりまして誠意ある人材の育成に努めて参りたいと考えております。 次に、醍醐合場町の柳戸川沿いの道路の安全対策でございますが、道幅が狭く歩道もないことから歩行者の安全確保の必要があることは十分認識致しております。一方、御指摘の北側の堤防を歩道として歩行者が円滑に通行を行えるものとするには幅が狭く困難な面もありますが、今後、歩道としての活用が安全対策上、可能かどうか地元の皆様と協議しながら更なる検討を進めて参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕 ◎教育長(門川大作) 人権教育についてでありますが、人権問題解決のためのこれまでの様々な取組を総括し作成しました試案に基づく各学校での実績を踏まえ、現在学校現場の教員を含む人権教育検討委員会で検討を重ねており、来年度当初に確定したいと考えております。今後とも人権教育を進めるうえで学校教育が果たすべき責務の重要性を踏まえ、お互いを尊重し、認め合い、支え合い、共に生きることの大切さを学ぶなど人権という普遍的文化の担い手の育成を目指した教育を家庭、地域と共に推進して参ります。以上でございます。 ○議長(磯辺とし子) これをもって一般質問を終結致します。--------------------- ○議長(磯辺とし子) 本日は、これをもって散会致します。 〔午後3時16分散会〕---------------------         議長    磯辺とし子         副議長   梅林 等         署名議員  山中 渡         同     小林あきろう △請願文書表「受理番号681」「30人学級の早期実現」・請願文書表「受理番号682」「教育条件の整備充実」 △請願文書表「受理番号683」「乳幼児医療費無料制度創設の要請等」・請願文書表「受理番号684~685」「葬儀場建設の指導」 △陳情文書表「受理番号55~56」「公団住宅を公共住宅として存続させる要請」・陳情文書表「受理番号57」「准看護婦・士の看護婦・士への移行教育の早期実現の要請」...